交通で差が付く、東京圏で「上がる街」はどこだ? 東京を活性化するのは再開発より交通改善だ
今回、筆者は独自に3社の協力を得て、各社リーダーにインタビューをしただけでなく、このランキングの基となるデータを提供してもらうことができた。
各社のランキングをそれぞれ見ていこう(カッコ内は考えられる主な要因)。JR東日本では、1位に武蔵小杉(再開発とJR横須賀線停車)、2位に大崎(再開発とJR埼京線乗り入れ)、3位に日暮里(再開発と日暮里・舎人ライナー乗り入れ)がランクインした。
東京メトロでは、1位に新宿三丁目(副都心線乗り入れ)、2位に西新宿(再開発)、3位に豊洲(再開発とゆりかもめ乗り入れ)が入った。
首都高では、1位に空港西(空港アクセスと羽田空港国際線旅客ターミナル開業)、2位に大井南(港湾アクセス)、3位に八潮(再開発とつくばエクスプレス開業)が入った。
交通の変化を契機に「上がる街」へ
このランキング結果と、考えられる主な要因を照らし合わせると、再開発よりも交通の利便性向上で「上がる街」になった場所が多いことがわかる。つまり、東京では交通こそがフロンティアなのだ。
東京では、これまで鉄道や道路の整備や改良が繰り返されるたびに、交通の利便性が向上した場所が生まれ、そこが「上がる街」になってきた。また、「下がる(衰退する)街」も、ちょっとした交通の変化がきっかけとなって活性化し、「上がる街」へと変貌してきた。
その代表例である豊洲は、もともと工業地帯として「上がる街」になったが、産業の変化によって「下がる街」になり、ゆりかもめの乗り入れが再開発の推進力となり、夜間人口が増加して、ふたたび「上がる街」へと変貌した。
東京では、このようにして「上がる街」と「下がる街」の入れ替わりが繰り返され、都市全体として「上がる都市」になり続けてきた。また、それらが入れ替わる可能性が常にあること自体が、環境に応じて変化し続ける都市の活力源となり、魅力となってきた。これらは、東京が持つ大きな特徴だ。
では、これからの東京にはどのような交通の変化が待ち受けているのだろうか。筆者が3社のリーダーたちにインタビューしたところ、人口減少に伴う利用者の減少や、交通インフラを支える労働者の不足だけでなく、MaaS(マース、各移動手段をITでつないで1つのサービスとして提供する次世代交通の概念)と自動車の自動運転をはじめとするモビリティ変革や、働き方改革の影響を気にする声が聞かれた。
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