交通で差が付く、東京圏で「上がる街」はどこだ? 東京を活性化するのは再開発より交通改善だ
モビリティ変革や働き方改革が交通に与える影響は、予測することが難しい。例えばもし1枚のIC乗車券で鉄道と二次交通の両方をシームレスに利用できるようになれば、鉄道の利便性は上がる。
シェアサイクルの利用者が増えれば、駅間が短い地下鉄の利用者数に影響が及ぶ。自動車の完全自動運転が実現すれば、交通事故が減り、首都高などの道路での移動がスムーズになる一方で、それによるパーソナルな移動が容易になれば、鉄道やバスなどの公共交通に影響が及ぶ。
働き方改革で在宅勤務を含むテレワークをする人が増えれば、通勤で鉄道や道路を利用する人が減り、交通の混雑が緩和される一方で、交通事業者の収入が減る。それらが今後起こりうることを考えれば、10年、20年先の交通の状況を予測することすら難しい。
東京は「上がり」続ける
しかし、予測が難しいとはいえ、これからも交通の変化が東京を「上がる都市」にする大きな要因になることは確かだ。交通の利便性が今よりも向上すれば、都市全体における「人」と「モノ」の流れがよりスムーズになり、経済活動が活発になり、東京が活性化する。東京には、それを実現する余力が残されている。
東京の交通インフラの整備や改良には長い時間がかかるので、人口が減少に転じても交通の変化が続く。この状況を楽観視すれば、交通の変化が続く限り「上がる街」と「下がる街」が入れ替わる活力源は失われず、東京は「上がり」続けるとも考えられる。
首都機能が集中する東京が「上がる都市」になることは、日本が「上がる国」になるうえでも重要なことだ。東京は、先述したようにいま人口減少前夜を迎えており、2025年には東京都全体、2030年には23区で人口が減少に転じると予測されている。それでも東京を持続的に発展させることは、東京はもちろん、日本にとっても大きな課題である。
だからこそ今、東京に残されたフロンティア=交通に注目すべきだ。不便だった交通の改善こそが、東京を活性化させるうえで大きな鍵となるからだ。
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