東証1部「上場基準の厳格化」が与える巨大衝撃 降格企業が多数続出? 来年4月にも実施へ
「かつての東芝のように、形だけ整えていて実質の伴わない企業を新1部に残しかねない」(機関投資家)との危惧もある。だが、「改訂コーポレートガバナンス・コード」(2018年6月公表)が「3分の1以上」を事実上の目標に掲げているほか、議決権行使会社のISSやグラスルイスが「社外取締役が3分の1未満の場合は株主総会で経営トップの選任議案に反対を推奨する」としている。
東証1部上場2126社の社外比率の平均は30%、中央値は28%。3分の1以上だと過半が抵触する。ただ、社外比率3分の1という水準は今年6月の総会で社外を数名増やすだけでクリアできる。多くの1部上場企業にとって、達成がそんなに難しい基準でもないだろう。
親子上場の子会社は社外取締役過半が条件に?
ガバナンス基準では親子上場の子会社を新1部に残すかどうかも焦点の1つだ。親子上場している場合、子会社の少数株主の利益よりも親会社の利益を子会社が優先するのではないかという危惧は拭えないからだ。ガバナンスに問題がありそうな会社を新1部に残すべきではないという投資家の声は少なくない。
本誌の調べでは、1部上場企業同士で親子上場しているのは1月末時点で138社。うち84社の子会社が時価総額500億円以上だ。
親子上場している子会社は時価総額が大きい会社が多い。9兆円台のNTTドコモを筆頭に、2018年12月に上場したばかりのソフトバンクは6兆円台、2015年に上場したゆうちょ銀行は5兆円台だ。NTTデータ、ユニー・ファミリーマートホールディングス、ヤフー、かんぽ生命保険、協和発酵キリン、大日本住友製薬も1兆円台と巨額だ(1月末時点)。
これら時価総額の大きい上場子会社を新1部から除外すると、時価総額をベースとしているTOPIX(東証株価指数)の連動性に支障が出かねない。そこで、親子上場の子会社には厳しいガバナンスの条件を課すのも有力だ。
投資会社ストラテジックキャピタルの丸木強代表は「親子上場の子会社は取締役の過半を社外にすべきだ」と提言する。そこで時価総額500億円以上の84社の親子上場子会社を見てみると、社外取締役比率が過半なのはゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日立ハイテクノロジーズの現状3社しかない(日立化成、クラリオン、パルコの3社は5割ちょうど)。
一方で親子上場子会社では社外比率の低さが目立つ。84社中、社外比率の最も低いのは防災機器製造最大手・能美防災の10%。NTTドコモも14%と低い。同じくNTT子会社のNTTデータは18%と10%台だ。親子上場の子会社に社外比率過半という新ルールが課されれば、新1部に残れない恐れが出てくる。
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