あの西武新型特急は車内も「常識破り」だった インテリアの雰囲気も「これまでにない列車」

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巨大な窓を室内から眺めると、床面から窓の下辺までの高さはわずか40cmほどで、シートの座面と同じくらいだ。窓の大きな列車といえば、屋根まで続く曲面ガラスなど上方に向けた窓が一般的だが、足元から広がる巨大な車窓に流れる風景は開放感とともにスピード感もありそうだ。

曇り空に溶け込むように走るラビュー。銀色の車体は天候や風景によって異なる表情を見せる(撮影:大澤誠)

一方で、シートに座った乗客のひざより低い位置から窓が広がっていることで「開放的」過ぎると感じる人もいないとは限らない。そこで、シートはひじ掛けから背もたれまで一体化した、人を包み込むような独特のデザインを採用した。コンセプトである「リビングのような雰囲気」づくりは成功しているといえそうだ。

テーブルは向かい合わせにした際に使うひじ掛け内蔵形に加え、ノートパソコンが載るサイズの座席背面テーブルもあり、各席にコンセントも備える。

西武沿線に注目の春

今春は池袋駅近くに、池袋線の線路をまたぐ西武HDの新本社ビル「ダイヤゲート池袋」が開業し、同線沿線の埼玉県飯能市には「ムーミンバレーパーク」がオープン予定と、西武グループや西武沿線に注目が集まる。

試運転中のラビュー。銀色の弾丸のような外観が特徴だ(撮影:大澤誠)

ラビューもこのタイミングに合わせて登場する。3月16日のダイヤ改正から、池袋線・西武秩父線の特急「ちちぶ」「むさし」に投入され、平日は上り6本・下り5本、土休日は上下各5本運転される。2019年度中にはすべてのニューレッドアローがラビューに置き換わる予定だ。

観光だけでなく、平日は通勤利用者が多くを占める西武の特急。「通勤も観光も、いろんな年齢層の方が違う目的で乗る、そういう特急がどういう風にあったらいいかと考えた」(妹島さん)という銀色の新型特急は、はたして利用者にどんな景色を見せるだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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