不正乗車は「運賃3倍」徴収、時代に合っているか

省力化で駅係員や車掌の「監視の目」届かず

乗車券の確認方法、不正乗車への防止方法は、鉄道営業法が定められた時の人による監視から、機械による監視、信用乗車方式に準ずる乗車方法の採用など、大きく変わってきている。

運転士がいて車掌がいて改札係がいて、というように人的な目で確認できていた時代から変わって、鉄道事業者の目が届かなくなり、あるいは目が届きにくくなり、カメラなどで確認することはあっても、乗車券確認が乗客の行動に委ねられることになるのならば、引き換えにその信頼を破壊した場合のペナルティを重くすることで、抑止を図るというのは合理的である。

もちろん、増運賃が2倍では足りないということなら何倍ならいいのか、ということを決めるのは難しい。増運賃制度は不正乗車抑止のためのひとつの方策にすぎず、それだけで不正乗車を根絶できるものでもない。

現在の規程は時代に合っているか

しかし、問題は、鉄道運輸規程が増運賃の上限を設けていること自体に合理性があるのかということである。各鉄道事業者が不正乗車抑止に対するコストなどを検討してそれぞれ適正な増運賃を2倍を超えて設定することを許さず、一律に制限をかける理由は乏しいように思われる。

自由に増運賃の倍率を定められるとしても、「事業者が受ける平均的な損害」をはるかに超える倍率にするのは望ましくないなどの議論はあろう(これは消費者契約法9条により消費者が契約解約をする場合の違約金額などの定め方に関するものなので、増運賃額には直接関係はしないが、ひとつの基準にはなりうる)。

しかし、一律に2倍までという制限を設けることの合理性が今なおあるか、鉄道事業の現状に照らして再検討をしてもよいように思われる。

時々に改正はされつつも、鉄道営業法やその関連法令については大がかりな改正はなされてこなかった。本格的な自動化、省力化の時代を迎え、人による運行から機械による運行に鉄道が変わりつつある今、見直すべきところは多いと思われる。

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