ネット通販王国・楽天市場の変調

セールス依存に限界 一強神話崩れるか?

後味の悪さ残った二重価格問題

「弁護士を通じてキャストホールディングスには内容証明を2回送ったが、誠意ある対応がない」。京都で宇治抹茶の菓子を販売する茶游堂の当主・林屋和成氏は語る。

茶游堂は日本一セールで10個入り1万2000円の抹茶シュークリームを「通常価格から77%引きの2600円」で販売し、インターネット上でバッシングを浴びた。景品表示法上は、過去8週間以内に4週間以上販売した実績がないと通常販売価格と打ち出せない。同店は日本一セールで初めてこの商品を出品したため、当然1万2000円で販売した実績はなく、77%引きというのは不当な二重価格表示だった。

実は、茶游堂は問題の商品を直接販売せず、キャストホールディングスという企業が運営する産直食卓・楽天市場店に販売を委託している。そのため、「こんな販売価格になっているとは知らなかった」(林屋氏)。茶游堂としては露出が増え、キャスト側は在庫を持つことなく手数料が稼げる仕組みはドロップシッピングと呼ばれ、業界では珍しくない。だが、「中にはいいかげんな値付けや悪質な商品もあった。ユーザーが見極めるのは困難」(ネット通販のコンサルティングを手掛けるランダーブルーの永江一石社長)。

楽天は三木谷浩史会長兼社長が開いた謝罪会見で17店舗が不当な価格表示を行っていることを認め、1カ月のサービス停止処分も発表した。ただ、くだんの茶游堂もキャスト社は処分を免れた。

処分対象となった17社は、いずれも従来から出品していた商品の通常価格をセール直前に吊り上げたケース。一方、シュークリームはまったくの新規出品商品のため対象にならないというのがその理由だ。

モール側の不正防止対策には限界があることも明らかになった二重価格問題。今回のスーパーセールが急きょ大感謝祭になったのは、自粛の一環だと受け止めた出店者は多い。出店ルールを説明した30分ビデオを見ないと出品ができない仕組みも導入されたという。

11月30日から始まった大感謝祭では、メーカー定価があるような商品を除き、価格表示は販売価格1本におおむね絞られた。6年前からスポーツ衣料品店を出店する社長は、「そもそも77%オフが無理な設定だった。うちでもサンプル商品か廃番商品でないと出品できなかった。是正されたのは歓迎」と話す。

一方で、楽天が優秀店舗として表彰する店舗を含め出店者たちの間には、「一発価格だと通常からどれくらい安くなったかわからず訴求力が落ちる」「ほかのサイトで相場を確かめているうちにかご落ち(購入カートに入れても購買ボタンが押されず削除となること)してしまう」という懸念が広がった。

会期中の流通総額は健闘したようだ。初日の11月30日に有効期限を迎える楽天スーパーポイントが大量に積み上がっており、これを使い切りたいユーザーが集中。「翌1日の深夜には、楽天が4時間限定でポイント3倍の実弾攻撃を実施。そこからの伸びはすさまじかった。前年割れにはさせない、という楽天の意志を感じた」(紳士衣料品を販売する都内の出店者)。

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