国が画策、運賃「値上げ」で駅ホームドアを設置 利用者の過半数が賛成?鉄道会社の意見は?

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ホームドアを設置したからといって、鉄道事業者の収入が増えるわけではない。そのため、鉄道事業者が消極的になっているという見方も国交省内にはある。

そんな矢先、設置駅数を増やすために、費用を利用者に負担させてはどうか――。国交省内の検討会でこんな意見が飛び出した。

2018年12月にホームドアが設置されたJR新小岩駅の総武快速線ホーム(編集部撮影)

2017年7月から鉄道事業者や学識関係者などを交えて「都市鉄道における利用者ニーズの高度化等に対応した施設整備促進に関する検討会」が行われている。16回にわたって行われた検討会の結果として、2018年9月に出された報告書には「利用者の利便性、安全性及び快適性向上に著しく寄与すると認められるものを、『更なるバリアフリー化』と位置づけ、これに係る料金制度を導入する」ことが提案された。

バリアフリー設備費用は輸送の対価ではないため、その費用は運賃とは切り分けて考える必要がある。そのため、新線建設に係る加算運賃制度のように、バリアフリーに使われることが明確になるような制度を検討しているという。

ただ、運賃に含めるのではないにしても、利用者の金銭的な負担が増えるのであれば、実質的な運賃の値上げにほかならない。

アンケートでは「賛成」優位

この提案を利用者はどう受け止めているのか。同報告書では複数の消費者団体にも意見を求め、「財源の確保が課題であることは理解できるため、(中略)利用者負担を求めることは、更なるバリアフリー化を推進するための選択肢の一つになるのではないか」というコメントを得ている。

さらに、国交省が鉄道利用者を対象に行ったアンケート調査の結果も掲載されている。同アンケートでは、整備費用のすべてを利用者が負担することについて、非高齢者(20~64歳)で「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人の割合は52%、「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人の割合は18%だった。

また、整備費用の一部を利用者が負担することについて、非高齢者で「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人の割合は58%、「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人の割合は13%だった。アンケート結果を見る限り、利用者の多くが整備費用の負担に賛成の意思表示をしている。

また、整備費用のすべてを利用者が負担することに対して「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人に「1乗車あたり10円の上乗せは妥当か」聞いたところ、非高齢者の74%、高齢者の80%が妥当と回答している。

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