「CEO報酬もらいすぎ問題」で今すぐすべきこと

ゴーンが平均社員の数百倍稼ぐのはおかしい

報酬額が最も高い経営陣のトップは、その報酬の大部分をストックオプションやその他の種類の株の持ち分といった形で受け取ることが多い。このやり方だと役員の利益が株主の利益と一致するだろう、というのがその理屈だ。

だが実際には、ストックオプションは財務業績のよさには報いるが、業績の悪さや不正でさえも罰することはないし、長期的価値よりも短期的なリターンを最大化し、名目株価を最大化するための経理操作を経営者に奨励することになる。

10億円と20億円の違いはどこにあるのか

しかも、10億円と20億円の年収では、実際その違いになにか意味があるのだろうか。 1円1円の追加は、CEOよりも社員のほうに多くの意味を持つのではないか。それに、追加の報酬を要求するCEOは、要求しないCEOと比べて本当により有能なのだろうか。

巨大な賃金格差は労働力に対する侮辱であり、企業文化を弱体化させ、従業員の士気を低下させる可能性がある。ゴーン氏の下で解雇された日産の従業員たちはその怒りを公に表明しているが、まだ日産で働いている従業員たちも不安を抱いているに違いない。ゴーン氏に対する疑惑が本当なら、同氏は法律や社会規範を破っただけでなく、自らの従業員の信頼をも踏みにじったことになる。

世界的な金融危機以降、アメリカの政治家はCEOに対する莫大な報酬の額に驚愕を覚えるようになり、「ドッド=フランク・ウォール街改革および消費者保護法」にCEOの年間報酬と労働者の年収中央値の比率をアメリカの証券取引委員会への報告書に開示することを義務付ける規定を加えた。

一方、イギリスでもこの1月1日、CEOの年間報酬と労働者の年収中央値の比率の開示に関する規制が施行された。今後イギリスで250人以上の従業員を雇う上場企業は、同比率の開示と説明を義務付けられるようになった。さらに、株価の上昇が役員報酬にどう影響するか、そして役員が経営上の意思決定を行う際に従業員やステークホルダーの利益をどう考慮しているかについても報告しなければならない。

こうした中、カリフォルニア州でも、改革派が最高幹部に従業員の100倍以上の報酬を払っている企業に州税の課徴金の追加を義務付ける法案を提案中だ。

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