近鉄「夢洲―奈良」直通特急、実現は難しくない 集電方式の違いなど技術的な課題を徹底検証
近畿日本鉄道が2025年に大阪万博が開催される夢洲(ゆめしま)と奈良を直結する特急列車の検討を始めたと報道された。
夢洲は大阪湾の埋め立て地で、もし2008年に大阪オリンピックが実現していれば、会場となるはずの場所だった。現在の夢洲には駅はないが、大阪メトロは中央線をコスモスクエア駅から延伸し、2024年度に開業させることを目標としている。
なお、大阪オリンピック実現時には地下鉄中央線をコスモスクエア駅から夢洲駅、さらには新桜島駅まで延長する計画があった。大阪オリンピックは実現しなかったので、計画は中止となったが、コスモスクエア―夢洲間に開通した夢咲(ゆめさき)トンネルには鉄道用のスペースが確保されており、夢洲への延伸工事は比較的容易である。
課題は集電方式と電圧の違い
地下鉄中央線は終点の長田駅から近鉄けいはんな線に乗り入れている。そして、けいはんな線は途中の生駒駅で近鉄奈良線と接している。近鉄が今回打ち出した計画は、ここから近鉄奈良線に直通して夢洲ー奈良間を結ぼうというものだ。奈良は言うまでもなく世界的な歴史的観光地。また夢洲は万博終了後にカジノの建設を計画しており、両地点を結ぶことでインバウンド消費の増加が期待できる。
では、この直通特急を実現するために、どのような技術的な課題があるのかを考えてみたい。
近鉄奈良線と近鉄けいはんな線はどちらも線路幅1435mmであるが、集電方式と電圧が異なり、近鉄奈良線が架空電車線方式・直流1500Vなのに対して近鉄けいはんな線は第3軌条方式・直流750Vとなっている。
架空電車線方式というのは、空中に張った架線に電気を通し、パンタグラフなどを使用して集電するもので、新幹線から路面電車まで幅広く採用されている方式だ。
第3軌条方式とは、電車が走る2本のレールと別に電流を流した3本目のレールを設置しているものだ。集電は台車等に取り付けられたコレクターシュー(集電靴)で行う。
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