乃木坂46も参入「アイドル小説」は広がるか 出版不況のなか軽々と10万部を突破

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多くのアイドルがグループ卒業後の仕事に苦戦している中で、AKB48卒業後も安定した人気を誇っている松井玲奈。出版社としても売り上げに期待がかかる。小説の売り上げが低迷する中で、わかりやすいファンが付いているアイドルの作品は、多少の文章力があれば積極的に手がけて行きたいところ、ということだろうか。

「高山さんの本はKADOKAWAから刊行されました。同社はこれ以前にもNEWSの加藤シゲアキ(31)の作品や、セクシータレント・紗倉まな(25)の小説を手がけ、いずれも売上・評価ともにかなり話題となっています。昔から尾崎豊の小説を出版していますし、ノウハウがあるのでしょう。

さらに、角川書店時代に尾崎さんの小説を手がけ、その後、幻冬舎を立ち上げた見城徹社長(68)も自社でさだまさしさんの『精霊流し』をベストセラーにしました。幻冬舎でもタレント系の小説は多いですね」(同)

これ以外にもここ数年は、ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観(34)やSEKAI NO OWARIのキーボード・藤崎彩織(32)や加藤ミリヤ(30)などミュージシャンや、芸人ならバカリズム(43)やオードリー・若林正恭(40)などのタレント小説が、ただ出したというだけでなく、それなりに売り上げ・評価を得ている。

表現するという意味ではアイドルも作家も同カテゴリー

「最近のタレント小説ブームの発端は、なんといっても芥川賞を受賞した又吉直樹(38)の『火花』(文藝春秋)でしょう。その芸人小説も、その前に劇団ひとり(41)などの芸人が小説を手がけてヒットしてきた流れがあった。芸人さんは小説好きな方も多く、実際に作家さんとの交流も盛んです。やっぱリ小説は、本を読んでいないとかけないですからね……。

彼らはネタを書いたりするので、独自の視点もあって、小説としても面白いものができるパターンも多い。もちろん考えすぎたり、狙いすぎてマニアックな方面に行き過ぎる人もいるので、編集者としてはうまく導いてあげたい所です」(大手出版社の編集者)

アイドル事情に詳しい、エンタメライターの中村裕一氏は“アイドル作家”についてこう分析する。

「確かに白石麻衣や生田絵梨花の写真集の大ヒットもあり、乃木坂46が今、追い風ムードであることは間違いありません。少々乱暴かもしれませんが、アイドルも作家も“表現する”という意味では同じカテゴリー。むしろ国民的アイドルグループとして、一般人には到底想像できないような多忙で複雑な日々を過ごしている彼女たちが感じ取ったさまざまな思いや感情を、文章という形で表現することには非常に興味があります。

大人数のメンバーのなかに埋もれていた存在が、こういった形で才能を開花するのは喜ばしいこと。たとえ今はまだ『アイドル作家』という色眼鏡で見られるとしても、将来的には文学賞を狙えるようなクオリティーの作品が出る可能性は十分に考えられます」

高山の10万部超えヒットという呼び水があって、アイドル小説という新たなジャンルが出版不況の中、救世主となるのだろうか。

(ライター・黒崎さとし)

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