特急料金、1駅ずらせば数百円も節約できる 50kmごとに上がるシステムをうまく活用

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中央線

「あずさ」「かいじ」は立川発着で利用すると何かと都合がいい。立川からだと、松本は197.9km、甲府は96.6kmとそれぞれ200km以内、100km以内に収まり、新宿発着の場合より200~400円程度安くなる。新宿―立川間は特別快速が毎時4~6本走っているので、乗り継いでも距離の割にはそこまで大きなタイムロスはない。

中央線の特急「あずさ」(写真:IK / PIXTA)

だが、立川―大月は50.3kmと、わずかに50kmを超えてしまうので注意が必要だ。韮崎、茅野は八王子発着にするとそれぞれ99.6km、147.8kmとなる。また、ほとんど「かいじ」しか停まらないが、三鷹発着にすると都合がいい駅には山梨市(98.1km)、小淵沢(149.6km)、塩尻(198.0km)がある。ただし、今春のダイヤ改正で三鷹は特急停車駅ではなくなるので、この手が使えるのは今年3月15日までだ。

反対に、新宿発着ではなく東京発着にしても料金が変わらずお得な駅もある。八王子(47.4km)、韮崎(147.0km)、茅野(195.2km)などである。

新料金でも安くできる?

今春のダイヤ改正から中央線の特急に適用される新特急料金は「自由席利用者にとっては値上げ」と物議を醸しているが、途中の駅で分割して購入すると安くなる区間が存在する。

たとえば新宿―小淵沢間163.4kmを通しで買うと2200円だが、新宿―大月間77.5kmと大月―小淵沢間85.9kmに分割して購入すると2000円となる。これがグリーン車だと料金差はさらに顕著で、通しなら3740円になるところが分割すると3020円で済んでしまうのだ。実に料金差720円! 普通車指定席料金に820円足すだけでグリーン車に乗れる。

また、青梅線の「青梅ライナー」は特急「おうめ」に変わるが、こちらもライナー料金の510円から750円へ値上がりする。そして現在の均一料金ではなく51km以上は1000円となり、東京から河辺・青梅まで乗車するケースでは料金が2倍にもなる! 河辺・青梅で降りる人は東京からではなく、新宿からの乗車に改めることを考えてもいいだろう。

さて、これまでの方法を駆使して最も安くなるのは、都内と塩尻の間でグリーン車を利用する場合だ。新宿―塩尻間211.8kmで特急グリーン車に乗ると、新料金では5070円となる。これを新宿―立川間は中央特快を使い、さらに立川―甲府間96.6kmと甲府―塩尻間88.0kmに分割して購入すると3020円となり、実に2050円もの料金差となるのだ。乗り換えときっぷの分割購入による手間はあるものの、通しで乗った場合の普通車指定席料金に560円プラスするだけでグリーン車にできるのなら悪い気はしないだろう。

今回紹介した例は、数ある中のほんの一例である。ほかにもこういうケースはまだまだあるので、時刻表で営業キロと列車の停車駅をよく確かめてみてはいかがだろうか。時刻表を調べなくても「乗換検索システムを使えば十分」との声も聞かれるが、そればかりが最適解ではないことがわかるに違いない。

北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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