日立、原発プロジェクト凍結は大英断なのか 国内原発メーカー3社の再編・統合へ鳴る号砲

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イギリスは近年、地球温暖化対策などの観点から原発新設を政策的に進めてきた。原発計画を支援するために電力の固定価格買い取り制度(CfD)を整備。先行する計画(ヒンクリーポイントC)には現在の電力価格の約2倍にあたる1キロワット時当たり92.5ポンドが適用された。

【2019年1月21日19時10分追記】初出時の記事で「1キロワット時当たり92.5ポンド」という記載を「1メガワット時当たり92.5ポンド」に修正しました。

日立はこれに近い水準の買い取り価格を前提に収支計画を立て、ホライズン出資に意欲を見せる投資家もいた。

しかし、再エネが急速に普及し、電力価格が低下。日立のシナリオは狂ってしまう。高い買い取り価格は消費者への負担が重く、価格が見直されることになったのだ。

原発プロジェクト「凍結」の狙い

もっとも、今回の日立の決断は「凍結」である。これは何を意味するのだろうか。

財務上は損失処理を行い、ホライズン社は大幅に人員を圧縮して「コストをミニマムにする」(東原社長)。並行して「経済合理性があるスキームについてイギリスと交渉する」のだという。

これは、一方的にプロジェクトを打ち切って違約金が発生するリスクを回避することが狙いだが、イギリス政府が将来原発が必要だと考えを改めることへの期待もある。日立の電力部門の幹部は「原発は必要。数年すれば状況は変わる」とみる。

仮に数年後に計画が復活しても、再び一からプロジェクトを立ち上げないといけない。「凍結」とはいえ、日立の原発輸出は事実上の撤退となる可能性が高い。

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