鉄道界のこの1年は?2018年のニュース10選 複々線から新型車両、新駅名まで話題豊富

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9)各地で災害、鉄道の不通相次ぐ

2018年も自然災害による鉄道への被害が相次いだ。6月18日には大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生。大半の路線は翌日までに復旧したが、大阪モノレールは全線再開までに6日を要し、その後車両に破損が見つかったことから再び運休を余儀なくされた。

同月末から7月上旬にかけて西日本を中心に広範囲を襲った記録的豪雨では、JR山陽本線や呉線など中国地方の各線をはじめ、JR東海の高山本線、JR九州の筑豊本線など各地の路線が大きな被害を受けた。現在も、芸備線の三次―狩留家間、筑豊本線の桂川―原田間は不通が続いている。貨物輸送の大動脈である山陽本線は9月30日に全線再開を予定していたものの、その前日に台風24号の影響による土砂崩れが山口県内で発生し、全線再開は10月13日にずれ込んだ。

また、9月4日には「25年ぶりの強さ」という台風21号が西日本に襲来。強風にあおられたタンカーが関西空港連絡橋に衝突し、JR関西空港線・南海空港線が17日まで不通となった。

台風や豪雨による被害が相次ぐ中、関心を集めたのが「計画運休」だ。JR西日本は以前から行っていたが、9月末に台風24号が関東地方に接近した際、JR東日本が初めて実施。首都圏の大手私鉄各社も多くが運転終了の時間を早めたが、利用者への情報提供や翌朝のダイヤの乱れなどに課題を残した。

海外の高速鉄道網もさらに拡大

10)香港と中国を結ぶ高速鉄道開業

香港と中国本土を結ぶ「広深港高速鉄道」が9月23日に全線開業し、香港が中国の高速鉄道ネットワークと結ばれた。中国政府が推し進める広東省・香港・マカオを一体化し結び付けるグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)構想の一環。在来線で約2時間かかる香港―広州間は、発着駅こそ異なるものの約47分に短縮された。

香港側の駅は、香港の出境審査と中国本土の入境審査を1カ所で行う「一地両検」と呼ばれる方式を採用した。駅構内の一部や列車内は中国の法律が適用されることから、香港の民主派からは批判の声が上がっている。

試運転中の西武新型特急「ラビュー」(撮影:大澤誠)

2019年は、3月にJR西日本のおおさか東線・放出―新大阪間が開業予定。新型車両では、西武鉄道の新型特急「ラビュー」が3月に運行を開始する予定。最高時速360kmでの営業運転を目指し、JR東日本が開発する次世代新幹線試作車両「ALFA-X」(アルファエックス)が5月に完成し、試験走行を始める予定だ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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