鉄道界のこの1年は?2018年のニュース10選 複々線から新型車両、新駅名まで話題豊富
大手私鉄各社を中心に近年導入が相次いでいる、座席指定制などの「座れる通勤電車」は今年も広がりを見せた。
京王電鉄は2月、新型車両5000系による座席指定列車「京王ライナー」の運行を始めた。夜間に新宿から京王八王子と橋本へ各5本を運転しており、12月31日から元日早朝にかけての終夜運転では、高尾山への臨時列車「迎光号」としても走る。3月には西武鉄道が西武新宿発拝島行きの「拝島ライナー」を運行開始した。
これまで指定席車は西武の乗り入れ列車「Sトレイン」のみだった東急電鉄も、12月から平日夜の大井町線大井町発・田園都市線長津田行き急行に座席指定車両「Qシート」を導入した。7両編成のうち1両のみなのが特徴で、Qシートとして運行する際は前向きに座れるクロスシート、一般列車として使う際は横長のロングシートに転換できる車両を使う。
また、10月にはJR西日本が京阪神地区の一部新快速で、2019年春から有料座席指定サービス「Aシート」を導入すると発表。通勤電車の指定席車は今後も増えそうだ。
構想から50年、着工30年
首都圏の鉄道で大きなニュースとなったのが小田急電鉄の複々線化だ。最後まで工事が続いていた東北沢―世田谷代田間1.6kmの工事が3月上旬に終わり、構想から50年超、着工から30年を経て、代々木上原―登戸間約11.7kmの複々線が完成した。同月17日にはダイヤ改正を実施し、朝ラッシュピーク時の本数は1時間当たり27本から36本に増えた。
小田急は混雑率の低下とスピードアップで近隣他線からのシフトが進むことを期待するが、今年4~9月の通勤定期利用者は前年同期比1.6%増で、3.7%増という見込みの半分に達しなかった。現状では「複々線効果」はまだ道半ばのようだ。
一方、関西の鉄道で特に注目を集めたのは大阪市営地下鉄の民営化だろう。4月1日から大阪市が全額を出資する「大阪メトロ」(大阪市高速電気軌道)として新たなスタートを切った。公営地下鉄の民営化は全国初で、年間利用者数は約8億9000万人、鉄道事業の営業収益は約1584億7600万円(ともに市営時代・2016年度)という巨大鉄道会社が誕生した。
2025年に大阪での万博開催が決まり、その会場となる夢洲へのアクセスとして期待されているのが大阪メトロ中央線の延伸だ。同社は12月20日、夢洲に新駅と一体化したタワービルを建設する方針を示した。同時に御堂筋線や中央線の駅リニューアル案も発表したが、歴史ある駅を奇抜なデザインに大改装するイメージイラストが公開されたことから、ネット上では批判の声も上がっている。
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