欧州の交通サービス「MaaS」は日本に根付くか 東急・JR東日本が伊豆で参入、今年が正念場

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ウィムはすでに170万トリップが利用されるほど高い評価を得ている。とりわけすばらしいという声が多いのは「オールインワン」であること。あらゆる交通手段を、運賃支払いを含め一つのアプリでシームレスに利用できるところが好評のようで、若年層の約6割から支持されている。年齢別ではとりわけ30代から支持されている。

ウィムのアプリ画面(筆者撮影)

元祖MaaSアプリだけあって海外からの引き合いも多く、すでにアントワープ(ベルギー)、アムステルダム(オランダ)、英国ウェストミッドランド州で導入しており、検討中の都市は40以上にもなる。残念ながら日本の都市名はなかった。

日本では東急・JR東日本が実験開始

しかし、日本の交通事業者でもMaaSへの動きはある。たとえば東京急行電鉄は2018年9月26日、JR東日本とともに2019年春、静岡県伊豆エリアで「観光型MaaS」の実証実験を行うと発表。続いて10月31日には、田園都市線たまプラーザ駅北側地区で、やはり2019年1月下旬から3月下旬にかけて「郊外型MaaS」の実証実験を実施するとアナウンスしている。

MaaSは最近、細分化が進んでいる。フィンランド運輸・通信省でも、ウィムに代表される都市部での展開パターンは都市型MaaSと呼んでおり、それとは別に農村型MaaSがあると話していた。前者は多種多様な交通をシームレスにつなぎ、マイカーに匹敵するドア・トゥ・ドアのモビリティ構築が重要になるのに対し、後者は逆に単一の交通が子どもから高齢者までのあらゆる移動、さらには物流も担うという違いがある。

東急が発表した2つのMaaSは、名称で分かるようにどちらにも属さないものだが、ではなぜ同社がMaaSに参入を考えたのか。同社事業開発室プロジェクト推進部プロジェクトチーム課長の森田創氏は次のように説明する。

「JR東日本の冨田哲郎会長と楽天の三木谷浩史会長兼社長、そして当社会長が2017年末頃に話し合いをしており、その中から考えが生まれました。地方は、観光客は増えているが交通は弱体化しており、地方活性化のためにも、日本のためにMaaSのようなものをやらなければいけないという内容だったようです」

東急は2018年3月に発表した中期3か年経営計画の重点政策の一つとして「戦略的アライアンスによる事業拡大」を掲げており、4月には未来を見据えた新規事業を手掛けるプロジェクト推進部を開設した。

森田氏はこの部署に所属し、観光型MaaSと郊外型MaaSに取り組む。フィンランドから来日中の関係者に会うと、続いて現地視察を行った。そこで『観光型MaaSはやっているところがない』と評価され、コペンハーゲン(デンマーク)で行われた第25回ITS世界会議でプレゼンテーションを行うとともにパネルディスカッションにも参加し、注目されたという。

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