東京地検特捜部、ゴーン氏3度目逮捕の衝撃 東京拘置所で越年確定のゴーンは何を思うか

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容疑は大きく2つある。1つめはゴーン氏の資産管理会社がA銀行とのスワップ取引で評価損18億5000万円を抱えた件だ。ゴーン氏は2008年10月にこの取引ごと日産に移転することで、損失を負担する義務を日産に負わせたという。その後にこの取引を日産からゴーン氏の資産管理会社に戻したが、東京地検の久木元伸・次席検事は「(一時的にせよ)日産に損失負担義務を負わせたのだから、日産に損害を与えないようにする任務に背いたことになる」と12月21日の会見で指摘した。

2つめはさらに複雑な取引だ。上の取引に関連して、A銀行に対してスワップ取引での損失を保証する「スタンドバイ信用状」をC銀行に発行してもらったが、そのために尽力したB氏の経営するD社に対し、2009年6月から2012年3月までの4回にわたり、日産子会社に1470万ドル(約16億5000万円)を振り込ませたというものだ。

この振込額が最初の容疑の18億5000万円に含まれるのか、なぜこのように複雑なやりとりをしたのかについて、21日の会見では質問が殺到したが、久木元次席検事は「捜査の内容に関わることなのでコメントできない」と明らかにしなかった。

時効は成立しているのか

これらの取引については12月上旬に報道が先行。「10年前の取引であり時効が成立しているのでは」「ゴーン氏自身が『取引を検討したが当局の指摘を受けて実行していない』『スワップ取引は為替リスクのヘッジ目的であり利益目的ではない』と話している」などの理由から、特別背任での立件は難しいとみられてきた。

一方、「ゴーン氏は海外滞在が長いことから時効が成立していない」という見方もあった。東京地検としては時効は成立しておらず、本取引は実行されており、取引の目的も利益目的だったとみているようだ。

しかし、今回の逮捕は疑問なことが多い。まず、ゴーン氏が日産にいくらの損害を与えたのか。普通に考えれば2つの容疑の合計額のように思えるが、久木元次席検事は「公判で明らかにする」と明言しなかった。

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