日産ゴーン逮捕、権力集中が生んだ負の遺産

「カリスマ」突然の失脚、一体何が起きたのか

日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)が11月19日、東京地検特捜部に金融商品取引法違反容疑で逮捕された。みずからの報酬を約50億円分少なく有価証券報告書に記載した疑いが持たれている(撮影:尾形文繁)

「ゴーンによる長年にわたる統治の負の側面と認めざるをえない」

11月19日の夜、緊急会見を開いた日産の西川廣人社長兼CEOは、事件の背景にゴーン氏による長期政権の弊害があることを強い口調で指摘した(撮影:尾形文繁)

仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長(日産のみ当時)を兼務するカルロス・ゴーン氏(64)が11月19日、東京地検特捜部に金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された。同日夜に記者会見した日産の西川廣人社長は事件の背景として、20年近く日産のトップに君臨してきたゴーン氏による長期政権の弊害があると言い切った。

報酬を約50億円過少記載

特捜部によると、ゴーン氏は日産の代表取締役を務めていたグレッグ・ケリー氏(62)と共謀し、2010〜2014年度の有価証券報告書に、実際にはゴーン氏の報酬が計約99億9800万円だったにもかかわらず、計約49億8700万円だったと約50億円過少に記載した疑いがある。日産はゴーン氏が会社の投資資金や経費を私的に流用するなど「複数の重大な不正行為」もあったとする。

内部調査の結果などを受け、日産は11月22日、臨時取締役会を開き、ゴーン氏の会長職を解任し、代表権を外すことを全会一致で決めた。同様にケリー氏の代表権も外された。ただ、2人を取締役職からも外すためには後任の選任も含めて株主総会の決議が必要なため、同社はできるだけ早期に臨時株主総会を開催することを検討している。また、ゴーン氏が代表取締役会長を務める三菱自動車も11月26日夕方、臨時取締役会を開いて、会長職の解任を決める方針だ。

資本提携したルノーから日産にゴーン氏が送り込まれたのは1999年。2兆円を超える有利子負債を抱えて経営危機に陥った日産の再建請負人として、経営再建策「日産リバイバルプラン」を策定。村山工場(東京都)など国内5工場の閉鎖や2万1000人の人員削減、部品メーカーとの系列取引廃止など大ナタを振るい、業績のV字回復を成し遂げた。

しかし、その実績と強力なリーダーシップによって、日産社内でゴーン氏は徐々に「ワンマン化」していった。2005年には日産株式の44%(当時)を保有するルノーの社長兼CEOにも就任。日仏の大手自動車メーカーのトップを兼務することで、権力集中はますます加速した。西川社長は「(日産の)CEOとして貢献はあった」としつつ、「非常に注意しなければいけない権力構造だったのに、一人に権力が集中しすぎた」と反省の弁を述べた。

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