日産ゴーン逮捕、権力集中が生んだ負の遺産 「カリスマ」突然の失脚、一体何が起きたのか

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ゴーン氏とともに東京地検特捜部に逮捕された日産の前代表取締役、グレッグ・ケリー氏(写真:日産自動車)

カリスマへの権力集中の弊害が如実に現れているのが役員人事だ。不正解明のカギを握るケリー氏は2015年2月に日産の専務執行役員などの役職から外れ、肩書は代表取締役のみになっていた。それ以降、米国在住のまま日産本社に出社することは少なかったという。「何の業務をしていたのか、社内で知っている人はほとんどいない」(日産関係者)。ゴーン氏の不正をサポートする「側近」として重用されてきたのが実態のようだ。

社内では不信感がくすぶっていた

2017年4月の会長就任後は本社への出勤頻度が1~2カ月に1回程度になり、現場からますます遠ざかっていたゴーン氏。完成検査問題では、謝罪会見など自ら矢面に立つことはなかった。その理由をゴーン氏は今年の株主総会で「日産のトップはCEOの西川氏だ」と説明したが、社内ではゴーン氏への不信感が募った。

最近は提携先のルノーとの関係で、日産との経営統合を求めるルノー筆頭株主のフランス政府寄りの発言を繰り返した。独立性を堅持したい日産内ではゴーン氏への疑念も高まっていた。

ゴーン氏逮捕で、世界販売第2位を誇る3社連合の先行きには不透明感が増す。ゴーン氏は各国の政財界とも太いパイプを持ち、連合をまとめ上げてきた。個人への極端な依存を廃した仕組みへの転換は急務だ。

今回の不正は日産社内からの告発を端緒に内部調査が進められ、特捜部による強制捜査に至った。詳細な経緯は明らかになっていないが、日産幹部によるクーデターではないかとの記者会見での質問に対し、西川社長は「そういう理解はしていない」と否定した。

日産は今後、二人の独立社外取締役を中心とする第三者委員会を立ち上げ、不正の原因や背景の特定、経営体制の再検討を進めていく。「ガバナンス(企業統治)の仕組みが形骸化し、透明性も低かった」(西川社長)ことが結果としてゴーン氏の暴走を許した。ゴーン経営が破綻した今、社内外が納得できる透明性のある新体制を構築できるかが日産の将来を左右する。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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