東京地検特捜部、ゴーン氏3度目逮捕の衝撃 東京拘置所で越年確定のゴーンは何を思うか

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なぜこのタイミングで3度目の逮捕に踏み切ったのかも釈然としない。再逮捕や再々逮捕ではそれまでの容疑よりも悪質で重要な容疑で逮捕するのが通常だが、「有価証券虚偽記載と特別背任とではそれぞれに罪質が違い、一概にどちらが軽いとか重いとか言えない。虚偽記載も特別背任も懲役10年、罰金1000万円なので同じとも言える」(久木元次席検事)。

ゴーン氏の自宅への家宅捜索があったかどうかも不明だ。21日にはゴーン氏の自宅に強制捜査が入ったという報道もあったが、久木元次席検事は「報告を受けていない。承知していない」と答えるにとどまった。

ゴーン氏3度目の逮捕を受け、日産社内からは、一部の社員から歓迎の声があがった一方、ある幹部は「捜査の経過にかかわらず、内部調査に基づいて会長を解任した判断は揺るがない」と冷静に受け止めている。

ゴーン元会長に損害賠償請求も

再々逮捕直前の21日午前に、西川廣人社長が社員向けにビデオメッセージを配信。「日産としては結論を出しているので、(捜査の推移などを)落ち着いて受け止めていこう」と呼び掛けた。

関係者によると、今回の逮捕容疑となった損失のつけ替えは、日産の内部調査で把握していなかった内容だという。逮捕前に検察から内容の照会があり、すでに社内調査を開始している。また、内部調査報告書の公表は、想定外の再逮捕によって来年1月以降に延期する。日産は今後、会社に与えた損害額を精査したうえで、ゴーン元会長に損害賠償を請求することの検討も始めた。

今回の再々逮捕で日産は、「これまでは検察が有価証券報告書への虚偽記載容疑でしか逮捕していなかったことで、ルノーやフランス政府へのインパクトが弱かった。(特別背任容疑の逮捕で)少し状況が変わってくるのではないか」(関係者)などと、いまだゴーン氏のCEO職を解任していないルノーが態度を軟化させることを期待している。

ただいずれにせよ、保釈かと思った矢先の逮捕劇である。ゴーン氏の勾留長期化に対し、海外からの批判の声が強まることは間違いなさそうだ。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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