中国がGDP世界1位を狙うたった1つの理由 「統計データ」から読み解く国際情勢の現状

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毎年同じデータを見続けることが重要だ(写真:Nuthawut Somsuk/istock)

イギリス『エコノミスト』誌によるデータブックである『The Economist 世界統計年鑑2019』は、一見単なる数字の集まりのようだが、読み手が各国のバックグラウンドや全体像を知っていると、めっぽう面白く読むことができる。

たとえば、自分が行ったことのある国のことなら、行ったことがない国のことより強く興味を持てるだろう。行ったことがなくても、バックグラウンドを知っているだけでもよい。少しでもその国のことを新聞やテレビで聞いたことがあるなら、途端に数字の見え方が変わってくる。要するに、私たちは「関心があるとモノが見える」のだ。私はこれを「発見力」と呼んでいて、ビジネスにおける重要なスキルの1つと考えている。

経済の盛衰が透けて見える外貨準備高

ここではまず「外貨準備高」に注目したい。外貨準備というのは、政府や中央銀行が持っている外貨のことであり、民間が持っているものは含まない。

2017年末の数で、1位が中国で約3.2兆ドル、日本が2位で約1.2兆ドルだ。その後に、スイス、ユーロ圏、サウジアラビアと続く。アメリカは中国や日本などと比べると、かなり少ない。

パッと見ると、中国が群を抜いて多いことに気づくだろう。2位の日本の3倍弱の数字だ。これを見て、単純に「中国すごいな」という感想を抱くだけなら、あなたはまだこのデータの本当の面白さに気づいていない。

筆者はこの数字を見て、衝撃を受けた。なぜなら、この3.2兆ドルという数字からは、中国人民銀行の人民元防衛のための「介入ぶり」、その裏にある中国経済の衰退ぶりがありありと浮かび上がってくるからだ。

かつて、中国の外貨準備高は4兆ドルほどあり、現在は、2017年末の3.2兆ドルからさらに減少し、ピーク時から1兆ドル近くも減っている。それは中国人民銀行による強烈な「人民元買い支えオペレーション」の結果にほかならない。

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