「4℃」は和製ティファニーに変身できるか 「大人化」キーワードに高級ブランド化へ挑戦

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最大のテコ入れ策は、ブランドイメージの高級化だ。4℃では、今期からブライダルを除いたファッションジュエリーを、価格帯別に3万円以下のファーストライン、3万~7万円のセカンドライン、7万円以上のサードラインと3つに分け、きめ細かな商品開発・販売を行っている。そして、セカンドとサードを合わせた中高価格帯の売り上げ構成比の引き上げを目指している。

従来、4℃では客数で75%に達するファーストの売り上げ構成比が5割近くを占め、セカンドとサードを合わせても5割強にすぎなかった。このセカンド、サード合計の売り上げ構成比を6割に高めるのが目標だ。

そのため、ファーストの価格帯の在庫や展示量を減らす一方、セカンド以上のそれを増やした。具体的には「大人化、上質化」のキーワードを掲げ、比較的低価格のシルバーよりも、プラチナやゴールドを使った中高価格帯商品を拡充している。

目指すは「和製ティファニー」

4℃の瀧口昭弘社長は、「当社はシルバーがヒットしてから顧客が若くなり、上の年齢層が離れてしまった。大学生が最初に買って25、26歳で卒業してしまう。学生のブランドだよね、安っぽいねというイメージがある。2~3年かけて子どものブランドではなく、大人のブランドにしたい。目指すのは“和製ティファニー”」と言う。

ジュエリーを売買仲介サイトで購入したり、出品することに抵抗が少ないのは若い層だ。また、ネットで売買されるジュエリーは、3万円以下の低価格帯が圧倒的に多い。4℃では、中高価格帯商品を強化し、高級ブランド化することで、これまでの20代中心から、30代、さらに40代以上へと客層を広げ、売買仲介サイトの広がりによる悪影響を防ぎたい、という狙いもあるようだ。

中高価格帯商品を拡充している結果、客数は減少傾向が続いているものの、客単価は上昇。既存店の月次売り上げはこのところ、マイナス幅が徐々に小さくなっている。

はたして、4℃の高級ブランド化戦略は成功するのか。4℃は1年前のクリスマス商戦で大苦戦し、2017年12月の月次売り上げは前年同月比で12%近く落ち込んだ。当面の焦点は今年12月の月次売り上げが、ひとまずプラスに転換するかどうか。今後の行方を占ううえでの試金石となりそうだ。

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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