満室でも予約可能なサイトが騙し取ったお金 中国の大手宿泊予約サイトで問題は起きた

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泊まれたとしても、宿泊施設が10万円という値付けをした部屋を25万円で購入していることになれば、利用者が受けられるサービスは10万円の値段に見合ったサービスになる。部屋や料理に不満が出るケースもあるだろう。そういった評価はクチコミサイトなどに、宿泊施設が知らぬままに登録される。

今年のゴールデンウィークやお盆期間のネット上のクチコミを見ると、「数日前にホテルの都合で一方的にキャンセルされた」「ホテルに着いたが記録がなく、勝手にキャンセルされていたようだ。とんでもないホテルだ」「予約が入ってないと言われ、追い出されて泊まるところがなくなった。ひどいホテルだ」など、ホテルを非難する書き込みが急増している。

メールや確認画面を要確認

その多くがこのサイト経由であると書かれているのだが、ユーザーはまさかサイトが空販売していた部屋をつかまされていたとは知らず、部屋が用意されていないことをホテルの責任だと誤認しているのだ。また、サイトが高額販売していることで「ぼったくりホテル」だと誤解されてもいるだろう。ホテルの信用低下による被害、フロントで対応する労力は全国規模で甚大なものとなっている。

業界団体にあたる、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合と日本旅館協会東京都支部は12月5日付で、会員に注意喚起文を送付。「既に満室になっている宿の大晦日の日の客室が販売されている事実が確認されました。その後、この週末だけで有馬温泉、城崎温泉、湯布院、鬼怒川などでも同様の事が起きている事が確認されています」と説明。

さらに、「宿には通知されず、お客様からはカード事前決済で宿代を収受しています。よって当日までに宿が気がつかないと満室の場合大変な事になります」と続けている。宿泊料金が通常の数倍の値付けとなっていることから、宿泊施設の信用問題につながるとしており、宿泊施設側による確認を呼びかけた。

観光庁も、業界団体関係者らから事情を聴取したうえで、12月6日付で「海外OTAを利用する際はご注意ください!」と題した注意喚起文をウェブサイト上に掲載している。

旅行商品の価格を比較できる、いわゆる「メタサーチ」を運営する企業の中には、トリップドットコムの接続を取りやめるケースも出てきたほか、旅行商品を提供していたパートナーも在庫の供給を停止するなど、影響は広がっている。

トリップドットコムの発表内容では、現在予約確定済み、もしくは「オンリクエスト」で予約中の人の予約が、本当に取れているのかはわかっていない。恐ろしいことに、このまま年末年始を迎えた場合、「ホテルに行ったのに部屋がなかった」というトラブルが全国各地で発生することもありうる。

多くのユーザーが通知メールや予約確認画面を確認せず、予約手続きは完了していると誤認したままホテルを訪れるケースがあれば、お正月に家族が旅先でホテルに泊まれず、代わりの宿泊施設も見つからず路頭に迷う姿も想像できる。

事態を重くみた全国旅館生活衛生同業組合連合会と日本旅館協会は、当初から予定していた各OTAとの情報交換会のうち、シートリップとの会合ではこの問題に対する説明を求める予定だ。

後藤 卓也 旅行情報メディア「トライシー」編集長

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ごとう たくや / Takuya Goto

2009年より複数メディアの設立や運営、数万人を動員する飲食イベントの企画・プロモーション、大手企業の販促企画に携わる。2011年に旅行情報メディア「トライシー」設立、創刊編集長。航空会社や旅行会社、旅行関連企業への取材活動を行う。年間搭乗100回以上。問い合わせはtakuyagoto@traicy.comへ。

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