新幹線の途中駅、久留米のタフな生き残り策 「福岡一極集中」強まる中いかに戦ってきたか

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市内の連携を支えているのは、「楽しい企み」と名付けられた毎週火曜日のミーティングだ。市の担当課、商工会議所、まちづくり会社、中心市街地活性化協議会のタウンマネジャーなどが、起業者や既存店舗の具体的支援策や役割分担をめぐって意見交換している。クスリと笑いたくなるこのネーミングからも、事業に携わる人々のマインドがうかがわれる。

起業家支援事業は、空き店舗率が底を打った2009年にスタートした。第1号の女性は、コミュニケーションや資格取得などの「コト消費」を重視したアロマ事業を手がけてブレークし、東日本大震災などの被災地支援に取り組んでいる。この店は第1号の「繁盛店」にもなった。

起業家支援事業を活用し、「健康になる歩き方」を扱う靴店を開いた経営者=2018年9月(筆者撮影)

「繁盛店」とは、売り上げが目標を達成するだけでなく、何らかの形でお客や支援者にリスペクトされる店を意味するという。支援事業の第2号の女性は、建物の耐震構造にヒントを得た中敷きを使う全国ネットの靴店を開業した。「健康になる歩き方」を売り物に、やはり「繁盛店」になっている。

まちの人々の支援で独り立ちした彼女たちに背中を押される形で、「まちゼミ」が始まったのは2013年だった。岡崎市の中心市街地の人々が開発したノウハウを取り入れ、講師に招いて、商店主らと顧客のコミュニケーションをベースとした新たな関係性づくりを始めた。

第1回は28店舗が38講座を開講、参加者は415人だった。回を重ねるうち、臨界点を超えたように第4回から店舗や参加者が急増し、2018年夏の第10回は103店舗が149講座を開講、参加者は1770人に達した。

この間、全国初の試みとして、小学生を対象にした「まちゼミキッズ」も始まり、市教育委員会などの協力も得て順調に参加者を増やしている。参加者同士が直接つながり、誘い合って繰り返し商店に足を運ぶ仕組みができあがったという。

熊本から新幹線で通う顧客も

まちゼミはさらに開業の波を起こし、新幹線開業との相乗効果も生まれている。

行徳さんと話すカイロプラクティック店経営者。熊本からもお客が来るという=2018年9月(筆者撮影)
安さと新鮮さをアピールする魚料理店の若手経営者=2018年9月(筆者撮影)

まちゼミを契機に2014年、若い夫妻が開業したカイロプラクティック整体院には、新幹線で熊本から通ってくるお客もいると経営者から聞いた。

最近は地元の特性を活用した開業事例もある。

久留米市は海がないにもかかわらず、大消費地・福岡市と有明海の間に位置するため流通の調節弁的な役割があり、新鮮な魚を安く仕入れられるという。

その利点を生かした男性が、おしゃれな魚料理店を2017年に開き、ランチタイムは連日、行列ができる盛況ぶりだ。

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