日産の「日本軽視」を生んだゴーン采配の中身 就任初期は新型車をバンバン投入していたが

拡大
縮小

当然日産車の売れ行きは下がり続け、2018年1~10月のメーカー別国内販売ランキングは、1位がトヨタ、2位はホンダ、3位はスズキ、4位がダイハツと続く。日産は5位になってしまった。日産は約20年前にゴーンの手腕で窮地から立ち直ったが、日本国内はその後に見放されて再び落ち込んだ。今では日産が世界で販売する日産車のうち、国内の比率は約10%(三菱が生産する軽自動車を除けば7%)にすぎない。

2018年1~10月のブランド別販売累計台数

総台数  
(1)トヨタ 1,312,487台
(2)ホンダ 629,253台
(3)スズキ 603,740台
(4)ダイハツ 543,371台
★ 日産 533,553台
登録車(小型/普通車)  
(1)トヨタ 1,280,591台    
★ 日産 372,612台
(3)ホンダ  318,166台
(4)マツダ 151,341台
(5)スバル 101,932台
軽自動車  
(1)ダイハツ 514,813台 
(2)スズキ 495,110台
(3)ホンダ 311,087台
★ 日産 160,941台
(5)三菱 49,320台

*トヨタはレクサスを含む

「販売台数No.1」というキャッチフレーズ

それなのに日産の宣伝を見ると「販売台数No.1」というキャッチフレーズが目に付く。ノートは「2018年上半期(2018年1~6月)登録車販売台数No.1」だという。軽自動車も含めると1位はホンダN-BOXで2位はスズキ「スペーシア」、3位がノートだが、登録車(小型/普通車)に限れば1位になった。

セレナは「2018年上半期ミニバン販売台数No.1」だ。この時期はトヨタの「ヴォクシー」を2位に抑えてミニバン市場では1位であった。

エクストレイルは「2018年上半期SUV4WD販売台数No.1」と強調している。この時期のSUVの売れ行きを見ると、1位はトヨタ「C-HR」、2位はホンダ「ヴェゼル」、3位がエクストレイルだが、注釈を付けて上記の宣伝を行った。日本自動車販売協会連合会の統計による「オフロード4WD」の区分(これを宣伝ではSUV4WDと表現する)では、エクストレイルが販売No.1になるという。これはかなり苦しい言い訳だ。

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