シャルレが創業家社長を解任、だが一族が大株主であることに変わりなく、波乱再演も
女性下着の訪問販売を展開するシャルレは12月2日、創業家の林勝哉社長を解任(取締役に降格)した。後任社長には執行役の岡本雅文氏が就任した。シャルレは、創業家一族とモルガンスタンレー系の投資ファンドによるマネジメント・バイアウト(MBO)を目指していた。だが、株式の公開買い付け(TOB)価格の算定などをめぐり、林氏が不適切な関与を行っていたことが発覚し、突然の社長解任、という異常事態を招いた。
シャルレがMBOの実施とTOBへの賛同を表明したのが9月19日。しかしその後、林社長が関与してTOB価格を低く算定した等の内部通報があり、シャルレは10月26日、第三者による調査委員会を設置した。31日には同委員会から、林氏が「不当に関与した疑いも拭えない」等の調査報告書が提出された。シャルレはこれを受けて、11月7日にTOBへの賛同を一旦撤回、12月2日になってTOBへ賛同しないことを表明すると同時に、林社長の解任を発表した。シャルレは取締役に降格した林氏と、同じく創業家一族の取締役である林宏子氏に対して、取締役の辞任も勧告している。
MBOが成立すれば、シャルレは上場廃止となる見通しだったが、今回の政変でMBOは成立しない公算が濃厚となった。そもそもMBOの狙いは、事業の構造改革を株価や株主の意向に、あまり左右されずに進めることにあった。主力商品である女性肌着やインナー類の販売はジリ貧が続いている。訪問販売、という形式も時流に合っているとは言えず、新たなチャネルマーケティングも業績回復には必須となる。今2009年3月期の業績は経費の先送り等で増益を見込むが、翌10年3月期は減収減益の可能性が大きい。
お家騒動が発覚した翌日、12月3日のシャルレの株価は425円のストップ安、上場来安値を更新するなど、株式市場では失望売りが膨らんだもようだ。緊急事態による社長交代とはなったものの、創業家一族は発行済株式の約28%を握る大株主であることに変わりはない。今後、創業家側の「逆襲」という第2幕があっても不思議ではない。
(吉田 正志)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.03 46,363 2,548 2,809 -1,971
連本2009.03予 27,700 2,800 2,900 2,100
連本2010.03予 26,000 1,800 1,900 900
連中2008.09 12,957 1,382 1,429 1,118
連中2009.09予 11,500 800 900 400
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.03 -101.7 30
連本2009.03予 108.4 0-30
連本2010.03予 46.4 0-30
連中2008.09 57.7 0
連中2009.09予 20.6 0
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