飯能駅を「フィンランド化」する西武の本気度 「ムーミン谷」開業へ北欧デザインに改装中

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飲食ゾーンには屋外テラスも(編集部撮影)

西武鉄道は来年3月に向けてなんらかのプロモーション企画を実施する計画だ。

同社のこれまでの企画をみると、現在運行中の「ぐでたまスマイルトレイン」をはじめ、過去には沿線出身のきゃりーぱみゅぱみゅさんとコラボした「KPPトレイン」や「ワタナベナオミトレイン」など、目を引くラッピング電車でたびたび話題を集めてきた。

来年以降はもちろん「ムーミントレイン」の実現に期待したいところだ。

飯能へどうやって観光客を呼ぶ?

筆者は飯能の自然をじっくりと味わってもらうためにも、メッツァへは環境にやさしい公共交通機関の電車とバスで訪れてもらいたいと考える。

たとえば、池袋からの飯能までの特急列車とバスの往復、テーマパークの入場料、食事やお土産の引換券などを含めた「飯能ムーミンきっぷ」のようなおトクな企画乗車券があれば、家族連れやカップルに選ばれやすい観光地になるのではないか。

宮沢湖畔にはゆっくりと時間を過ごすための仕掛けがある(編集部撮影)

さらに、相互直通運転をしている東京メトロや東京急行電鉄の路線を発駅に設定すれば、より広範囲のエリアからたくさんの人に飯能へ来てもらえる可能性がある。

また、少しの追加料金で、メッツァのほかに秩父や川越に足を延ばせられるオプション券があれば埼玉西部の活性化につながるのでは……と勝手な想像をしてみたくなる。

メッツァが全面開業するのは来年3月。飯能駅のリニューアル工事も完了し、「日本のムーミン谷」の玄関口らしい姿になるはずだ。単に電車とバスを乗り継ぐ地点というだけでなく、メッツァを訪れた人に楽しんでもらう仕掛けを駅前や現地までのルートの途中につくれないだろうか。

西武沿線を代表する観光地、秩父エリアの例を見ると、2013年から2017年までの毎年、秩父市でアニメを含めた映画を上映する「ちちぶ映画祭」を開催。今年は横瀬町の観光協会などの主催で11月17、18日の両日、横瀬車両基地を舞台に地元の酒と名物を楽しむイベントを開いた。

秩父の酒と食が楽しめる「ちちぶ車両基地酒場」は多くの来場者でにぎわった(編集部撮影)

「ちちぶ車両基地酒場」と銘打ったこの今回のイベントには2日間で約2000人が来場したそうだ。会場には地元が誇る日本酒やウイスキー、ワインなどが用意され、「わらじかつ」やジビエなど秩父ならではのフードを振る舞うブースが軒を連ねた。それらをピンク色の9000系の車内で味わえるという、鉄道ファンにもうれしい企画だ。

飯能でも「フィンランド」や「ムーミン」をキーワードに鉄道会社と一緒に盛り上げるイベントを開催してはいかがだろう。筆者も人任せにせず、飯能にゆかりのある1人として力になれないか知恵を絞りたい。今回のメッツァの開業が飯能と西武鉄道の絆をますます強くするきっかけになり、飯能へたくさんの人が訪れる施策につながってほしいと心から願う。

東 香名子 コラムニスト

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あずま かなこ / Kanako Azuma

1983年生まれ。女性サイト編集長を経て現在フリー。鉄道に詳しく女性目線で旅の楽しみ方を発信。総乗車距離1万キロ以上の乗り鉄。これまで男性のものだと思われていた鉄道趣味を、女性に広める活動をしている。著書『100倍クリックされる 超Webライティング実践テク60』(パルコ出版)

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