スポーツ車はMTと信じる人に教えたい新常識 2ペダル自動変速はここまで進化している
開発プロジェクトマネジャーであるミヒャエル・ヴィムベック氏へ聞くとこのように答えてくれた。
「Z4にはZF製の8速AT『8HP51』を搭載しています。これは非常にいいトランスミッションで、ストリートメインのクルマとして考えた場合、これ以上のものはないと思っています。セットアップの自由度が大きいのが特長で、モードによって性格もガラリと変えることが可能です。よりハイパフォーマンスな「M5」もこのATを使っていますので、技術的にもまったく問題ありません」
また、このBMW Z4と兄弟関係にあるトヨタ・スープラの開発責任者である多田哲哉氏も「ATとは思えないほどスポーツ性が高いです」と語っている。
ZF製のATの秘密
あのBMWに「これ以上のものはない」と言わせたZF製のAT。その秘密はどこにあるのか? ZFジャパンでATのエンジニアリングを担当している柴田敏克氏さんにさまざまな質問をしてみた。
ZFはドライブライン、シャシーテクノロジー、アクティブ&パッシブ・セーフティテクノロジーを供給するメガサプライヤーと呼ばれるが、自動車に詳しい人からするとZF=トランスミッションのイメージが強いと思う。それもそのはずで100年以上の歴史を持つZFは、1920年代にトランスミッションを発表。以来、車やバス、建設機械などのトランスミッションの開発・製造を行っている。ちなみにZFの意味はZahnradfabrik(Zahnrad=歯車、Fabrik=工場)の頭文字からきているのだ。
ATは1960年代に3速からスタートし、4/5/6速と進化。現在は2008年に登場したFR用縦置き8速AT(8HP)、2011年に登場したFF用横置き9速AT(9HP)が主力製品だ。前に記したBMW Z4に搭載される8HPはドイツ・ザールブリュッケンで年間250万台を生産。さまざまな自動車メーカーに供給されているが、ATの自社生産をしていないBMWはその割合が非常に多いそうだ。
そもそも、ATのメリットは何だろう?
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