iPhone「台数は非開示」が示す時代の大転換 アップルが決算時の公表項目を変更するワケ
決算発表の電話会議で、アップルのCFO、Luca Maestri氏は、販売台数を公表しない理由について、次のように述べている。
「これまで繰り返し述べてきたとおり、人々の生活を豊かにし、比類ない顧客体験を提供する優れた製品とサービスを作ることが、アップルの目標であり、その結果アップルの顧客は高い満足度を示し、ロイヤリティが高く、つながりが強くなっています。これらの目標を達成した結果、非常に好調な決算が就いてきています。
近年の好決算によって示されるように、90日間の販売台数は、我々のビジネスの善し悪しを反映するには必要がありません。さらに、販売台数は、以前に比べ、今日の幅広い価格帯を要する製品ラインアップがあるポートフォリオにとって、正確な指標ではありません」
例えばiPhoneのラインアップは、449ドルのiPhone 7 32GBモデルから、1499ドルのiPhone XS Max 512GBモデルまで取り揃えてある。売上高は最大1000ドルの開きがある。しかしどちらが売れても1台の販売台数だ。
10月30日に刷新したiPad Proは、12.9インチの1TBモデルで1749ドルにもなる。これに対して今年3月に発表された廉価版の第6世代iPadは349ドルから。ここでも、同じ1台に1300ドルの開きがある。
だからこそ、本稿でも売上高を販売台数で割り算して算出する平均販売価格を用いて、iPhoneやiPadについて、どのモデルが販売の中心になっているのか、という傾向をつかもうとしてきたわけだが、それをアップルは歓迎していないようだ。
販売台数の公表をやめることで、iPhoneの販売傾向は、よりつかみにくくなる。アップルはその代わり販売コストを発表することとなった。そのため、実際の販売価格ではなく、利益率を各カテゴリごとに算出することができるようになり、これは販売傾向の把握につながる可能性がある。
「その他の製品」を3分野へ
これまで、Apple WatchもApple TVも、「その他の製品」というカテゴリに分類されており、決算発表で個別にその成長の度合いなどが明らかにされてきた。
しかし次の四半期決算からは、このカテゴリについてもメスが入る。ウェアラブル、ホーム、アクセサリの3つの分野に分けることで、それぞれの製品ラインの現状がより正確に分かるようになる。
現在ウェアラブルデバイスには、Apple Watch、AirPods、そしてBeatsのヘッドフォン製品が含まれている。またホームのカテゴリには、Apple TVとHomePodが含まれることになる。
Apple Watch登場以降、ウェアラブルのカテゴリは成長が著しいが、他の製品と束ねられていたため、その成長が見えにくかった。またApple TVとHomePodの売り上げが伸びてきたこと、更なる製品を投入する可能性があることから、ホームカテゴリにも注目だ。
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