世界株高のウラに「三中全会」への高評価 中国の構造改革への強い決意は「買い」

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11月19日、世界的な株高の背景には、米金融緩和の長期化期待だけでなく、中国の「三中全会」への高い評価もある。写真は9月、都内で撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 19日 ロイター] -世界的な株高の背景には、米金融緩和の長期化期待だけでなく、中国の「三中全会」への高い評価もある。構造改革への強い決意を示し、短期的に景気が減速したとしても、長期的に潜在成長率が高まるとして、市場の中国ウオッチャーから歓迎されている。

一方、投資から消費への流れは加速するとみられ、中国関連株は二極化しつつある。

市場に「決定的」な役割

一服感は出ているが、世界的な株高基調は続いている。米国ではダウ<.DJI>とS&P500<.SPX>が取引時間中の最高値を更新。1万6000ドルと1800ポイントの大台を一時突破した。ドイツのクセトラDAX指数<.DAX>も終値で最高値を塗り替えた。

米著名投資家のアイカーン氏が、米株に対し慎重な姿勢を示すなど、高値警戒感は強くなっている。だが、強い景気認識と米金融緩和の長期化期待を背景に、緩和マネーが株式などリスク資産に流れ込んでいる。日経平均<.N225>も利益確定売りをこなして1万5000円の大台を維持するなど底堅い。

さらに投資家を強気にさせているのが、中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で決定された長期方針だ。金利・為替制度の自由化から戸籍制度、土地改革、一部セクターの民間・外資への開放など幅広い改革項目が掲げられており、市場の中国ウオッチャーからは「極めて前向き」(東洋証券・投資情報部シニアストラテジスト、檜和田浩昭氏)と評価が高い。

12日に発表された概要では、経済資源の配分において市場に「決定的」な役割を果たさせるとし、ウオッチャーを驚かせた。これまで中国で、市場の役割は「基礎的」あるいは「補完的」とされており、「決定的」という強い表現は、経済の市場化が加速する可能性があると受け止められている。

市場化や規制緩和など構造改革を進めることは、国営企業など既存企業にとってはダメージになりかねない。長期的には潜在成長率を高めることが期待できるとしても、短期的には経済を下押しする可能性がある。中国の成長率目標は今年の7.5%から来年は7.0%に引き下げられるとの見方が多い。

それにもかかわらず、市場が三中全会をポジティブに評価するのは、習近平政権のバランス感覚の鋭さを評価しているからだと、SMBC日興証券・投資情報室中国担当の白岩千幸氏は指摘する。「新政権はアメとムチをうまく使い分けている。構造改革を進める一方で、景気腰折れのような事態には陥らせないだろう。目標以上に経済が落ち込みそうになれば、今年のように経済対策を打つとみられる」と話す。

関連株も投資から消費へ

一方、今後も投資から消費へという中国経済のシフトはさらに加速するとみられている。過剰投資によるバブル形成を防ぎ、内需主導経済にスムーズに移行することが、中国にとって三中全会で示した目標年である2020年までの最大の課題となる。

マーケットもこうした流れを反映し、投資から消費への流れは、日本株市場の中国関連株のパフォーマンスにも表れている。これまで中国関連株と言えば、コマツ<6301.T>や日立建機<6305.T>など建設機械株がメーンだったが、最近はピジョン<7956.T>やユニ・チャーム<8113.T>など消費関連株の値動きの方が好調だ。

ピジョンとユニ・チャームの育児用品大手は、19日の市場では利益確定売りに押されたが、前日の市場では三中全会で「一人っ子政策」の緩和方針が示されたことで、人気化していた。業績もユニ・チャームの9月中間期が6期連続で最高益更新となるなど好調だ。

ニッセイ基礎研究所・上席主任研究員の三尾幸吉郎氏は「2020年に目標年を設定したのは、2021年は共産党の100周年にあたるからだ。消費主導経済への移行は容易ではないが、政権の威信をかけて遂行するだろう」との見方を示している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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