米中間選挙、押さえておくべき「4シナリオ」 トランプ大統領が弾劾される可能性は?
カバノー氏はこれまでの法律家としての経歴を通じて、特に最高裁判事になるための公聴会において、自らが「筋金入りの保守派」であることを証明してきている。そして大統領特権やオバマケア、移民、中絶、女性の権利、LGBTQの権利、環境といった問題に対するトランプ大統領の政策を支持する姿勢を示してきた。
一方、民主党が下院の過半数を取った場合、何が起こるか。大統領の税金問題やロシア疑惑、利益相反疑惑、司法妨害疑惑など2年前の大統領選以来、民主党が申し立ててきたが無視されてきた問題に対して召喚権限を使い、大統領の調査を開始できるようになる。これら多くの問題はロバート・ミュラー特別検察官が調査中の件に関係しており、同氏による最終報告書は中間選挙後に発表される見通しである。
大統領弾劾はありうるか
民主党が過半数を取り、ミュラー検察官によって十分な証拠が示されたならば、大統領に対する弾劾手続きを進めるべきだと主張する人もいる。しかし、大統領を解任するには最低でも上院の3分の2の議決が必要だ。この高いハードルを考慮すると、民主党議員も弾劾という選択を検討するにあたって、慎重にならざるをえないと言っている。
また、民主党が上院の過半数を取った場合には、民主党は大領領による政府高官(大使を含む次官補および次官補以上の役職)、連邦裁判官(94の地方裁判所、13の控訴裁判所、および連邦最高裁判所)の候補者指名に対して、より厳しく入念な審査が可能になる。また、閣僚などに自分の好みの人選を可能にしている大統領権限に対してのチェックも厳しくすることができる。
つまり、上院か下院のいずれか、あるいは上下両院両方で民主党が過半数を取れば、トランプ政権が誕生後はじめて、アメリカ国民が求めてきたアメリカ連邦政府の三権分離の基での、チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)が実現することになる。これはアメリカの内政だけではなく、アメリカの日本を含めた外交政策に大きな影響を及ぼすだろう。
では、具体的に日本にはどのような影響を与えるだろうか。過去の経緯を振り返りながら考えてみたい。
2017年の安倍政権主導によるトランプ当選直後の迅速な対応のおかげもあり、トランプ政権1年目におけるアメリカと日本の関係は、一般的に懸念されていたよりも良好なものとなった。特にマイク・ペンス副大統領と麻生太郎副首相による「日米経済対話」は、両国間の貿易交渉に先んじるべく日本が行った素晴らしい戦略だった。
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