中国の改革、勝ち組は消費株、負け組は銀行 各セクターの悲喜こもごも
改革では適切な時期に不動産税を推進することも明記された。政策の不透明感は、中国不動産株をめぐり、碧桂園(カントリー・ガーデン)<2007.HK>や世茂房地産<0813.HK>といったアウトパフォーム銘柄から、年初来で比較的さえない値動きとなっている中国海外発展(チャイナオーバーシーズランド)<0688.HK>や華潤置地<1109.HK>といった銘柄へのローテーションを呼び込む可能性もある。
ジェフリーズのアナリスト、ジャック・ルー氏とラバン・ユー氏は顧客向けノートの中で、農地所有者に対する都市化政策の恩恵により、2014年に農地取引が活発化すると指摘。農機など関連銘柄が向こう数カ月で買われるとし、第一トラクター<0038.HK>、甘粛省敦煌種業<600354.SS>、江蘇揚農化工<600486.SS>などを具体例として挙げた。
アナリストらは、国有企業の国庫納付金の比率を引き上げる計画については、社会保障の給付拡大につながると指摘。医薬株やヘルスケア銘柄が一段高になるとの見方を示した。中国のヘルスケア株指数<.CSI300HC>は既に年初来で20%上昇している。
燃料価格改革は、エネルギー価格の決定で市場の役割が増すことになり、価格上昇を意味する。中国石油化工(シノペック)<600028.SS><0386.HK>や中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)<601857.SS><0857.HK>といった国有企業の利益を押し上げそうだ。
ただアナリストらは、国有企業に対する改革の影響は不透明としている。
負け組は4大銀行
これまでの金利自由化により、4大銀行の純金利マージンは既に狭まっており、今後も一段と縮小しそうだ。改革計画の公表直後に、中国人民銀行(中央銀行)総裁は金融セクターの改革を深化させると約束した。
民間銀行の登場は、預金や融資をめぐる競争激化につながる。香港上場中国金融株指数<.HSHFI>は年初来で4.5%安となっている。
また、銀行セクターは短期的に、マネーサプライがタイト化する中、本土短期金融市場における金利上昇の影響を受けやすくなっている。
半面、証券や保険といった銀行以外の金融株は中国資本市場の発展に伴って成長が期待される。改革計画には、企業の新規株式公開(IPO)を容易にすることにつながるとみられる内容も盛り込まれた。上海や深センの株式市場ではここ1年ほど新規上場案件が途絶えている。
(Clement Tan 翻訳:川上健一 編集:宮崎亜巳)
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