中国の改革、勝ち組は消費株、負け組は銀行 各セクターの悲喜こもごも

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11月17日、中国の三中全会後に抜本的な経済・社会改革が打ち出されたことを受け、今週の国内株式市場では大量消費関連銘柄やヘルスケア銘柄、銀行以外の金融株が短期的ににぎわいそうだ。安徽省合肥の証券会社で9月撮影(2013年 ロイター)

[香港 17日 ロイター] -中国指導部が共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)後に過去約30年で最も抜本的な経済・社会改革を打ち出したことを受け、今週の国内株式市場では、同国の大量消費関連銘柄やヘルスケア銘柄、銀行以外の金融株が短期的ににぎわいそうだ。

株式投資家は国有部門の改革を進める計画を好感するとみられるが、長期的には分野によってばらつきが出そうだ。

大きく下落しそうなのは、中国工商銀行(ICBC)<1398.HK><601398.SS>、中国建設銀行(CCB)<0939.HK><601939.SS>、中国農業銀行(ABC)<601288.SS><1288.HK>、中国銀行(BOC)<601988.SS><3988.HK>の「4大銀行」。既に金利自由化の危機に直面しているほか、中国指導部は金融セクターの改革を加速すると約束している。

ゴールドマン・サックスの中国株担当ストラテジストは顧客向けノートの中で、2020年までに「決定的な」成果を目指すとした三中全会の内容に言及し、「市場のセンチメントは短期的に、15日夜に公表された三中全会決定全文によって盛り上がるだろう」と指摘した。

60項目から成る決定全文は、土地・戸籍改革や「一人っ子政策」の緩和、経済における市場の役割強化などが盛り込まれた。

15日には公表よりも前に改革計画の一部がソーシャルメディアに出回り、中国・香港株式市場は上昇。香港市場に上場する中国企業で構成するハンセン中国企業株指数(H株指数)<.HSCE>は3%高となり、上昇率は3カ月ぶりの大きさとなった。

アナリストらは、中国株への投資は抑えられていたため、この傾向は続くと予想。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの調査によると、三中全会開催前の11月には、中国株に対して「オーバーウエイト」ポジションをとる新興国市場ファンドの割合は11%にすぎず、10月から45%ポイントも低下した。15日に公表された改革計画で習近平国家主席の改革に向けた意欲が示され、一部のファンドは中国株に対する見方を改め、資金を再び投じる可能性がある。

12日に当初公表された三中全会コミュニケが失望的な内容だったことから市場は下落に見舞われたにもかかわらず、EPFRのデータによると、中国株ファンドは11月13日までの週に資金流入超となった。

問われる実行力

今後は中国政府の改革に向けた実行力が問われそうだ。ゴールドマン・サックスは、実行状況により、改革計画の優先順位などの手掛かりが得られるとしている。

国家衛生・計画生育委員会は16日、「一人っ子政策」の緩和をめぐり、大幅な変更を検討している訳ではないと釘を刺した。緩和策では、夫婦のどちらかが一人っ子の場合、第2子の出産を認める方針を打ち出した。

こうした不透明感は、出生率の上昇で恩恵を受けるとみられる乳業株やベビー用品関連銘柄にとって上値を抑える要因になるかもしれない。

白物家電販売や食品・飲料メーカーといったその他の消費関連銘柄も、消費拡大やサービス業発展につながる都市化政策の恩恵を受けるため、上昇が見込まれる。

大都市への移住は引き続き制限されるが、戸籍制度の改革は、特に大都市の不動産価格上昇が中央政府の大きな懸念となる中、政策当局者が中小都市の成長を押し上げようとする意図を示している。

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