「赤くて丸い」丸ノ内線30年ぶり新車両の全貌 車端に円窓、車内にはコンセントも設置

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2000系の車内。写真奥の車端部に丸窓がある(写真:東京地下鉄)
丸窓をはじめ「丸」が目立つ車端部(写真:東京地下鉄)

快適性の向上は、目に見える部分だけにとどまらない。空調は従来よりも約1.4倍の冷房能力を持たせ、ステレオ方式の車内放送システムで聞き取りやすくなるよう配慮した。

「東京メトロ初」の試みは安心・安定性の面で多く見受けられる。たとえば、走行中の車両の各装置の動作情報を司令所などに常時伝送してトラブルの予防に役立てる「車両情報管理装置」や、万が一脱線した場合に自動で列車を停止させる「脱線検知装置」は同社で初めて搭載する。

遅延回復に効果を発揮する「無線式列車制御システム」(CBTC)は2000系の導入による試験運用を経て、2022年度の稼働を目指して準備を進める計画だ。CBTCが稼働すれば日本の地下鉄で初めてとなる。

すでに銀座線の1000系や日比谷線の13000系で採用しているが、カーブでの安全性と騒音の防止に効果のある「片軸操舵台車」の導入や、駅間で停電が発生した場合に最寄り駅まで走行できる「非常走行用バッテリー」なども、安全・安心面にこだわった機能だ。

路線の伝統を大切に

8月下旬の深夜、中野車両基地へ搬入される2000系(撮影:尾形文繁)
アルゼンチンから里帰りした500形(撮影:尾形文繁)

2000系は8月下旬、1編成目がメーカーの日本車輌製造豊川製作所(愛知県豊川市)から中野車両基地に搬入された。同基地には2年前の夏、譲渡先のアルゼンチンから里帰りを果たした赤い旧型車両の500形が保管されており、動く状態への復元に向けて現在も修復作業を行っている。

丸ノ内線が開業した1954年当時、赤い車体に白い帯と銀色のサインウェーブを配したデザインの車両は利用者に大きなインパクトを与えたといい、今に至るまで同線の象徴として定着している。一度はこのデザインと決別した02系も、リニューアルに合わせて窓下の赤いラインにサインウェーブを入れた。

東京メトロは銀座線の現行車両1000系でも、旧型車両をモチーフにした黄色いカラーを採用しており、長年の間に利用者に定着したイメージや伝統のデザインを新型車両にも取り入れようとする姿勢が目立つ。かつて東京の地下鉄の象徴でもあった「赤い丸ノ内線」を今によみがえらせた新型車両は、新たな地下鉄の顔として来年の早春から走り出す。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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