グーグルが建設する海に浮かぶビルの正体 海上に浮かぶビルの目的は?

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話をミステリアスな艀上のビルに戻そう。11月上旬、現地に車を走らせてみた。サンフランシスコ湾の東側オークランド方面から、フリーウェー880を車で北上する。橋の通行料金6ドルを支払い、トレジャーアイランドの出口で降りる。

長い坂を下ると、ワイナリーが軒を連ねる様子が目に入る。ワイナリーの倉庫を通り過ぎると、島の東南端に艀上の工事中の建物があった。そこには地元テレビ局、KTVUとKPIXのバンが停まり、テレビカメラが艀をとらえていた。

トレジャーアイランドで建築に携わる労働者は「コンテナを連ねた建物の中はオフィスがつながった造りになっている」と説明してくれた。

船でどこでも引っ張っていける浮かぶ建物には、未解決の問題がある。まず何よりもサンフランシスコ市から建築許可を取り付けなければならない。使用目的を明確に伝えるよう、市側がグーグルに要請している。

サンフランシスコのエドウィン・リー市長は「グーグルの代表と話し合っている最中だ。グーグルから艀の使用目的について話し合いたいと招待され、この招待を受けるつもり」と語る。

完成後はどこで使われるのか。「サンフランシスコのフォートメイソン近辺に停泊する」「いや、サンフランシスコは環境規制が厳しい。規制の緩やかなロサンゼルス近辺にタグボートで引っ張っていくはずだ」など、いろいろな憶測が飛び交っている。

すでに、グーグルはフォートメイソンセンターと話し合いを行っている。フォートメイソンとは米陸軍基地があった風光明媚なところだ 。同センターは広大な国立公園であるゴールデンゲート公園の管理下にある。「フォートメイソン沖は波が強いので、その側の湾に、艀をつなぐつもりではないか」と、周辺住民は語っていた。

グーグルがゴールデンゲートのウォーターフロントを管轄するポート・オブ・サンフランシスコに提出した書面によると、艀は環境に優しいリサイクルのコンテナを使い、ビルの周囲を魚のひれのような多くの帆が旗めく、テクノロジーの展示スペースになるという。設計はアブダビのフィナンシャルセンター、サンフランシスコ国際空港第2ターミナルを設計した世界的な設計事務所のジェンスラー。計画書によれば、1日当たり1000人の来客を見込んでいる。

「艀はサンフランシスコから、レッドウッドシティ、リッチモンドとベイエリアの諸都市を1カ月ずつ回って、その後は南に向かい、サンディエゴに行く」と、地元テレビ局は報道する。いったいグーグルがこの水上の建物をどう使うのか。

グーグルが詳細を明らかにしないため、これからも報道合戦が続きそうだ。それもグーグルの筋書きどおりなのかもしれない。 =敬称略=

(週刊東洋経済2013年11月23日号)

Ayako Jacobsson ジャーナリスト

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アヤコ・ジェイコブソン / Ayako Jacobsson

山口県徳山市生まれ、広島市で育つ。東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。在学中、AP通信東京支局で編集アシスタント、卒業後はビジネステレビのディレクターとして「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」「製造物責任法」等を担当。その後、読売新聞英字新聞記者として、通信、テレビ、映画、ホテルなどの業界を取材した。ペルーのフジモリ元大統領へのインタビューも行った。1999年頃からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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