上場アストンマーティン、先行きに漂う暗雲

7回の倒産を乗り越えて成長できるのか

アストンマーティンは、2019年は7100〜7300台、そして2020年には9600〜9800台生産する計画だ。中期的には、新モデルと製造プロセスの改善により、生産数を1万4000台まで引き上げることをめざす。

1969年発売の「Aston Martin DB6 Volante」(写真:REUTERS/Arnd Wiegmann)

すべてのキャッシュフローは、この目的を達成するためだけに投資され、配当金や借金返済のためには一切使われない。また、上場にあたっては株主であるイタリアの Investindustrialやクウェートなどの投資ファンドが4分の1の株式を売り出したが、アストンマーティンは自社のための資金を得ていない。

「実行リスクの軽減については、私がこれまでのキャリアにおいてずっとしてきたこと。私はエンジニア。リスク軽減を進めていく」。2014年以来同社の再建計画を率いたアンディ・パーマー最高経営責任者(CEO)は、ロイターに対し、そう語った。

他の自動車メーカー首脳がイギリスのEU離脱を警戒するなかで、パーマーCEOは離脱に伴うビジネスリスクを軽く考えている。パーマーCEOは、アストンマーティンはヨーロッパが最大の市場ではないこと、ポンド安になれば輸出採算が向上することから、「EU離脱の影響は小さい」と述べた。

しかし、部品の60%はEUから輸入されており、貿易協定がなければ関税がかけられることになる。「もちろん、関税が掛からないに越したことはないが、自動車業界は適応することを学ばなければならない。これまでも常に変化に適応してきた」とパーマーCEOは語った。

他の新規公開株にも影響

2017年のアストンマーティン社のEBITDAは、2016年の1億ポンドから増えて、2億650万ポンドとなった。

リフィニティブのデータによると、株式市場での直接的な比較対象であるフェラーリは、2015年に株式上場し、EBITDAの22.2倍もの企業価値(株式時価総額+有利子負債額)で取引されている。この指標とアストンマーティンの抱える純負債額5億3880万ポンドに基づき、アストンマーティンは上場時にEBITDAの23.6倍の値がつけられた。

相対価格パフォーマンスに応じ、アストンマーティンはイギリスのブルーチップ指数である「FTSE 100」に入る可能性があり、もし入れば、ジャガー以来の自動車メーカーである。

アストンマーティンの上場初日の残念な結果は、ヨーロッパの新規株式公開市場に打撃を与えている。イギリスのソーシャル・レンディリング・プラットフォームであるファンディングサークル(Funding Circle)は20%以上も値下がりしている。新規株の取引に精通した匿名希望の銀行家は「新規株式公開市場は、収益実績のない成長株のせいでひどいものになっている」と述べた。

(文:ダーシャ・アファナシェワ)

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