「金融」の語源は笑えるほどシュールだった 雑談でしたらカッコいい?金融英語の語源

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西洋の人は「息を吹き込む」ということには神秘的な感じをもっていたようで、「spirit(精神)」「spiritual(精神的な)」などの語も元は「息をする」という語につきあたります。吹き込むと「インスピレーション(inspiration)」

spirit はフランス語では「エスプリ(esprit)」です。「person(人)」という語も非常に古い時代に「per-(貫いて)son(音を入れる)」という意味だったそうです。最初土の塊だった人間に神様が息を吹き込んで「魂」を入れて人間にしたという発想です。

「金融」と「終わり」は同じファミリー

Finance

finance という言葉はどこから来たのでしょう。中世フランス語 「finer(終わる、支払う)」に抽象名詞の語尾 -ance がついたものです。ということは、「finish(終わる)」という動詞と同じファミリーなのでした。皆さん映画を見ていて最後に 「Fine」(イタリア語)とか 「Fin」(フランス語)と出るのを見たことがあるでしょう。いずれも「終わり」の意味です。

形容詞は finalで、finance の形容詞形は financial です。「セミ・ファイナル」「フィナンシャル・タイムズ」などの言葉の中にすでに日本語として溶け込んでいます。finish の -ish はフランス語やイタリア語で「起動相(inchoative) 」と言って「~し始める」という意味を持つ動詞につける語尾でした。

さて、この「終わり」の意味の言葉から派生した英単語にはほかにどんなものがあるでしょうか。まず、fine、define、refineを拾い出してみましょう。

fine という綴りの単語にはいろいろな意味があります。野球で「ファインプレー」というときの「ファイン」は「見事な、素晴らしい」という感じですね。これは「終わり」から「究極」「最上の点」というイメージの広がりからこの意味が出てきたのです。

そして、「細かな」「デリケートな」という意味が re- という強めの接頭辞で増幅されて「refine(洗練された)」という語が生まれました。finery, finesse, finely などの派生語があります。名詞は「fine(罰金)」です。これも「終わり」から「精算」の意味が出て、「罰金」へと転義したものです。define はラテン語にすでに存在した語で「de-(下に)」と 「finire(終わる)」から「明確に定める」ということから「定義する」となりました。名詞の definition(定義)の方が時事的な文章のなかでよく見かけるかもしれません。

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