「痛いセクシー自撮り投稿」に隠されたホンネ 他に手段のない女性たち

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研究チームは、ツイッターとインスタグラムでセクシーなコンテンツを投稿しているアカウントを収集。その数は6万8000ユーザーを超えたという。

投稿された写真の撮影場所を特定し、結果、アメリカの5567の都市および1622の地域から、性差による男女の収入格差、さらにそれ以外のジェンダーに関するデータを集計。すると、男性よりも女性の低所得が顕著な場合に、女性がセクシーなコンテンツを投稿する傾向が強いことが明らかになった。逆に、所得における男女格差がない地域で生活している女性たちはセクシーなコンテンツをSNSで発信する傾向はない。

自己承認欲求を超えた無意識の主張

国際規模でもこの結果は同様だった。113カ国でSNSの投稿を追跡したところ、経済不平等が高まっている場所、例えばアメリカやシンガポールなどの先進国において、女性がセクシーな自撮り投稿のために時間と労力を費やしている可能性が高いことが分かった。

「心理学的に、経済的不平等が個々の相対的な社会的地位をあらわにし、社会的ヒエラルキーの全レベルの人々の間で自分の地位について不安を掻き立てる。これが激しいセルフィー合戦につながっている」とブレイク教授は話す。自ら性的な自撮りに駆り立てられる女性の数は、そのエリアの経済的競争の激しさを示すある種の指標ともいえる。

美しさには社会的価値があるので、現代の生存競争のなかで女性が「美」を活用するのは特段驚くようなことではない。進化論的にいえば、社会的地位を高めたい女同士での競争で目立つ手段の1つという。

歪んだ自己愛やナルシスト的な行為ではなく、彼女たちは生活の改善のために他の手段がほとんどない環境であることを訴えている。その不満を主張するにあたって、無意識にセクシー自撮りを選択していると、研究者は示唆する。

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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