英メイ首相が発言「EU離脱交渉、行き詰まる」 英ポンドが下げ幅を拡大、一時約1.4%安

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9月21日、英国のメイ首相は欧州連合(EU)離脱交渉が行き詰ったとの認識を示し、EUは代替案を示す必要があると訴えた。写真は2015年11月、ロンドンで(2018年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 21日 ロイター] - 英国のメイ首相は21日、欧州連合(EU)離脱交渉が行き詰ったとの認識を示し、EUは代替案を示す必要があると訴えた。

前日までオーストリアのザルツブルクで開かれたEU首脳会議は、メイ首相の離脱方針の主要な部分を受け入れない姿勢を表明した。

英メディアは、EU側がメイ首相の提案を粗略に扱ったと報道。メイ氏はテレビ演説で双方とも相手に不可能なことを望むべきでないとの考えを示した。

「このプロセスを通じて、EUに対しただ敬意を持って接してきた」とし、「英国も同様の扱いを期待している。このプロセスの最後に良好な関係が持てるかどうかは、そのことにかかっている」と述べた。

首相の発言を受け、英ポンドは下げ幅を拡大し、一時約1.4%安の1.3080ドルを付けた。合意なしの離脱に懸念が深まる中、1日の下げでは年初来で最大となる見通しだ。

メイ首相は「詳細な説明や対抗提案を行うことなく、相手方の提案を単に拒否する姿勢は受け入れられない」と指摘。「EUには何が真の問題で、代替案は何かを説明してもらう必要がある。そうすることで議論が可能になる。そうした説明を受けるまで、前進することはできない」と言明した。

メイ氏は、北アイルランドを他の英国領と異なる扱いとする案に同意できない考えを示している。

EU側は、北アイルランドとアイルランドの国境を厳格に管理する方針に反発し、北アイルランドを域内関税同盟に残すか、他の代替案で合意できない場合、アイリッシュ海に実質的な国境を設ける方向で主張している。

メイ氏は記者団に対し、「(EU離脱を決めた)国民投票の結果を覆すことも、自国を解体に導くこともしない」とし、「交渉における2点の重要な問題の解決に向け真剣に取り組む必要がある」と述べた。

「国民投票はわが国がこれまでに行った民主主義最大の実践例」とし、再投票実施を重ねて否定。「投票の正当性を否定したり、結果を阻害したりする行動をとれば、わが国の民主主義に対する市民の信頼を脅かすことになる」とけん制した。

メイ首相は、英国が条件などで合意した上で離脱するのが最善となるが、望ましくない合意の上で離脱するよりは、合意がないまま離脱する方が望ましいとの考えも示した。

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