石破氏「斬り込み不足」、首相は「上から目線」 公開討論の後も、小泉進次郎氏はだんまり

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記者クラブ討論会での両陣営の同伴議員も少なく、論戦を見守る首相秘書官らの表情が終始変わらなかったあたりも、今回の「直接対決」の盛り上がり不足を浮き彫りにしていた。対照的に、自民党本部での討論会終了後は、真ん前で討論を聞いていた小泉進次郎氏が会場から出ると、多数の記者団とカメラマンが取り囲み、押し合いへし合いの騒ぎとなった。

同氏が総裁選への対応については「14日の討論を聞いてから」と語っていたためだが、小泉氏は「(安倍氏と石破氏の)二者択一に見えても、それほど単純な問題ではない。語れば語るほど思いが伝わらない局面もある。そういう時は語ってはいけないと思う」と心境を説明し「(投開票日の)20日に1票を投じる、以上」と投票まで支持を明らかにしない考えを示して、立ち去った。

小泉氏は6年前の総裁選では投開票直後に石破氏に投票したことを明かしたが、小泉氏周辺では「今回は投票後もダンマリを決め込むのでは」との声が広がっている。これに対し、首相陣営からは「大人の対応だ」と評価する声が出る一方、石破陣営は「期待外れ」などと失望を隠さない。

党内では「首相支持と言えばポスト狙いといわれるし、石破氏支持なら首相サイドの反感を買う。何も言わないのが現実的な選択だが、間違いなく『逃げた』との批判も浴びる」(自民長老)との指摘もあり、小泉氏の動向は依然、注目の的だ。

石破派の斎藤農相に「辞表を書け」と圧力?

そうした中、石破派の有力議員でもある斎藤健農相は14日の千葉市での会合で、首相支持の議員から「『石破氏を支持するなら農相の辞表を書いてからやれ』と圧力を受けた」と暴露した。

斎藤氏は議員名を伏せて「首相は(私が)石破派だと分かっていて登用したはずだ。だから、『それなら首を切ってくれ』と反論した」と語ったが、総裁選での首相陣営の締め付けの強さが話題になっているだけに、犯人捜しも含めて党内外に波紋が広がっている。ただ、小泉氏への取材集中とも合わせて、こうした場外乱闘ばかりが話題になるあたりが「消化試合の特徴」(岸田派幹部)との声も少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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