「フォロワー投資家」が高値づかみをする理由 消費者目線で「まだ上がる」と思ったら要注意

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だが、他分野でも、株価が上昇している異業種もある。それは何か。プラットフォーマーに「吸収」、つまりM&Aをされにくいといわれる先端医療分野の企業だ。ガンなどの腫瘍を小さいうちに摘出できる手術支援ロボットや、やさしく治す低侵襲治療分野への注目が高まっている。

先端医療は長寿長命をテーマとしており、対象は老若男女と幅広い。前出の分類をあてはめて分析すれば、スマホを持たない伝統主義者(後半の16%)も、いずれお世話になる分野だ。特に高齢者を多く抱える先進国にとっては、安定的な伸びが見込まれる。

「フォロワー投資家」は高値づかみをしやすい

前述の分布における「真ん中の68%の層」は、大衆消費者としてはそれなりに目利き(はやい・うまい・やすい)の力はあるかもしれない。だが、投資家としては、成長株を高値づかみしやすいともいわれている。

なぜなら、消費者メリットと投資家メリットが一致する局面は意外と短いからだ。そもそもお金の流れ(株式市場)はモノの普及ピッチよりもかなり速い。実際の株式市場で、特に成長株は消費者目線よりも先行して買われ、普及率が50%を超えたあたりで株価は天井を打つケースも少なくないのだ。

ビジネスモデルの拡大路線に陰りが見えだしたころには、買われ過ぎていた成長株はすでに急落している。しかし、経験の浅い投資家(主に初心者)には株価の値ごろ感から買いの好機にみえてしまう。これが成長株投資の落とし穴だ。

こうした難しい話を判断するために、テクニカル指標が「わかりやすいモノサシ」になることがある。長期トレンドを反映する200日移動平均線や52週移動平均線だ。2つの長期の移動平均線自体が右肩下がりに転じたら、売り圧力が強まっている証しだ。実際、テクニカル面だけでなく、ファンダメンタルズ(基礎的条件)からみても業績の伸びが鈍化するなど、成長株のステージから外れようとしていることが多い。実際、一部のSNS関連株では52週線自体が下向きに転じている。今後に注目だ。

また、この消費者行動と投資家行動を重ね合わせたようなチャートもある。ボリンジャーバンドだ。一定期間における移動平均線に標準偏差のバンドを上下に加え、株価のバラツキにおける約68%の範囲が±1σ(シグマ)として描かれている。この範囲は「大衆投資家が頻繁に売買するゾーン」と言っても良い。このバンドが収束してくると、目先の投資家が市場から離散しているサイン。つまり、トレンドが発生する前兆といえる。

さらに、ボリンジャーバンドの正攻法は「順張り指標」といわれている。例えば、バンドが収束している局面で、かつ終値がマイナス1σを下回ったら売りシグナルだ。案外、誤って逆張り指標として使っている投資家が少なくないので、注意したい。SNSとしてのフォロワーは純粋に楽しい。だが、下落基調が続く成長株について「間違ったフォロワー」になるのはできれば避けたいものだ。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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