日本フットサル界の未来を背負う21歳の決断 清水和也がスペイン移籍で求めた希望

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その当時も、「ゆっくりしている時間はない」と語っていたが、いつの間にか、次にフットサルワールドカップが開催される2020年は目前に迫っている。そのワールドカップで、日本を勝利に導く存在になっているために、日本フットサル界の未来という見えない重責を背負ってスペインに飛び立った清水の移籍には、1つの時代の変化を感じざるをえない。

現在、日本フットサル界のトップカテゴリーであるFリーグで活躍する選手の中でも、中堅やベテランといわれるフットサル選手の多くは、幼い頃からサッカーの道でプロになることを目指し、ある時にサッカーかフットサルかの選択に迫られて、フットサルを選択してきた。

つまり、サッカーからフットサルに転向した選手がほとんどだ。しかし、清水の場合、小学生の時にフットサルを始め、フットサルの魅力に取りつかれて、中学から競技としてのフットサルを選択してきた選手だ。

この点について前述の高橋氏は「僕らがスペインに挑戦した時代に比べれば、今の若い世代はフットサルの戦術理解度が非常に高い。そのうえ、和也には才能がある。活躍できるポテンシャルは十分にある」と太鼓判を押す。

いわば、フットサル・ネイティヴ世代の代表格である清水が、いくら期限付きとはいえ、スペインリーグのビッグクラブで新たなチャレンジをするというのだから、今回の移籍は、日本のフットサル界にとっては、新たなステージに入ることを予感させる。

日本フットサル界の未来の希望

「世界最高峰のフットサル選手が集まる世界一のリーグでプレーできるチャンスを自ら勝ち取る機会があることに、とてもワクワクします。もちろん不安はゼロじゃないですが、成し遂げたいという野心のほうが強いですね」

日本フットサル界の未来はこの21歳の若者にかかっているといっても過言ではない(筆者撮影)

移籍について、記者会見の際に、自らの心境をこのように語った清水。

スペインという最高の舞台に自ら飛び込み、再び大きく背伸びをしはじめた清水が感じているこの「ワクワク」こそ、日本フットサル界の未来への希望だ。

日本フットサル界の至宝、清水和也は、スペインでどれだけ大きく成長するのだろうか。そして、日本フットサル界をどこに連れていってくれるのだろうか。

(文中敬称略)

瀬川 泰祐 ライター

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せがわ たいすけ / Taisuke Segawa

1973年生まれ。北海道出身。エンタメ業界やWeb業界での経験を活かし2016年よりフットサルを中心にスポーツ分野のライティング活動を始めている。モットーは、「スポーツで繋がる縁を大切に」。

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