アウディ新型A8上陸でも「自動運転」実現せず 技術が先行、国際合意難航で法整備置き去り

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グーグルを傘下に持つアメリカのアルファベットの自動運転開発子会社ウェイモは、公道実験を積み重ねている(編集部撮影)

各国の基準がバラバラでは技術開発の負担になるとして、国連欧州経済委員会で現在、ベースとなる国際基準について議論を重ねている段階。日本も事情は同じで、「専門部会での共同議長を務めるなど日本が主導的な存在となって、現在はレベル3の議論をしている。それを基に、国内の基準作りも同時並行的に進めていきたい」(国土交通省自動車局)という。

日本が批准するジュネーブ条約も国連の作業部会で見直し作業が進められているが、現状では改正に至っていない。同条約も実は2016年段階でウィーン条約と同様の内容の改正案がまとめられていたが、約100カ国ある批准国の3分の2の賛成を得られず、実現しなかった経緯がある。自動車産業が未発達で、自動運転に対する関心が薄いアジア、アフリカなどの開発途上国を中心に、積極的な賛成の意思表示をしない国が相次いだためだ。

自動運転容認に向け前進の動きも

しかし、ここに来て懸案の解決に向けた動きも出てきた。「作業部会での議論の結果、自動運転を認めるという明快な形ではなく、“禁止はされていない”という玉虫色の表現で合意しつつある。9月中旬にある会議が一つの山になりそうだ」(明治大学自動運転社会総合研究所の中山幸二所長)。自動運転時のセカンドタスクをどこまで許容するかなど未決着の論点も残すが、明確に規定しないながらも各国の法解釈によって自動運転を実現可能にする余地を生み出そうとする動きとみられる。

日本政府は2020年の東京五輪・パラリンピックでの自動運転技術の披露に向けて、産学官一体となって環境整備を進めようとしている。政府のロードマップでは2020年までに自家用車による高速道路でのレベル3だけでなく、移動サービスでは限定地域でのレベル4(一定条件下での完全自動運転)の実用化までをも見据える。期限から逆算し、2019年の通常国会への関連法案の提出を考えると、猶予はあと半年もない。

明治大の中山所長は「ドイツは法改正し、米国は各州の独自解釈で法整備を進めている。中国は条約非加盟のため、自由に法対応できる。このまま日本だけ置いていかれるのは国際競争の点で非常にまずい」と危機感をあらわにする。自動運転における国際競争での主導権を握るために日本に残された時間はそれほど多くない。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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