アウディ新型A8上陸でも「自動運転」実現せず 技術が先行、国際合意難航で法整備置き去り

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
新型「A8」の国内投入を発表したアウディ日本法人のフィリップ・ノアック社長。レベル3の自動運転の機能を搭載したと強調したが…(撮影:梅谷秀司)

自動運転車――。運転の負担から人間を解放してくれる夢のクルマだ。限定的ながらその機能を備えた世界初の市販車が、日本に近々上陸することになった。独アウディ日本法人は9月5日、新型の旗艦セダン「A8」を10月15日に国内でも発売すると発表した。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

1994年の初代登場から4代目。8年ぶりのフルモデルチェンジに合わせて、緊急時のみ人間が運転する条件付き自動運転「レベル3」の機能を開発した。しかし、公道での実際の運転でその最先端技術の実力を発揮することはできない。技術は実用化にまで至った一方で、自動運転に対応した法整備が置き去りになっているのだ。

最高峰の安全運転支援技術を導入

「世界で初めてレベル3の条件付き自動運転を可能にすべく開発された」。アウディ日本法人のフィリップ・ノアック社長は9月5日に開いた発表会で、世界で自動運転技術の開発競争が激化する中、市場投入で一歩先んじた自負をのぞかせた。価格は税込み1140万円から。アウディは独フォルクスワーゲングループにおける技術開発の中核企業。その旗艦車種であるA8の新型車にはアウディの技術の粋が込められている。

新型「A8」に搭載された仏ヴァレオ社製のレーザースキャナー「LiDAR」。高度な自動運転には欠かせないセンサーの一つだ(撮影:梅谷秀司)

特に注目を集めるのが、安全技術だ。将来的な自動運転の実現を見据え、量産車として世界で初めて、レーザースキャナーの「LiDAR(ライダー)」を採用した。赤外線を照射して、対象物までの距離や三次元の形状を高精度で把握できるのが特徴。

A8のフロントのナンバープレート下部に取り付けられた仏ヴァレオ社製のLiDARは、検知距離が乗用車で150メートル、歩行者で80メートル、視野角は145度だという。その他にも、ミリ波レーダーやカメラ、超音波センサーなど計23個ものセンサーを備え、高速道路での急な割り込みにも安全に対応できるなどの高度な安全運転支援機能を実現した。

次ページ新型A8で「自動運転」ができない理由
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事