ロシアは、なぜここまで「横暴」になったのか マケドニアの国名をめぐってギリシャと火花

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ロシアの工作活動はマケドニア側でも確認されている。ロシアはマケドニア内の反政府運動に資金提供し、9月30日の国民投票に向けて暴力行為をたきつけるようロシア寄りの企業に圧力をかけている。ザエフ首相はそう主張した。

ロシアがプレスパ湖での合意を頓挫させようとしているのは、マケドニアがNATOに加わるのを阻止するためだろう。ロシアがNATOの拡大に反対するのは、旧ソ連時代の衛星国が西側の同盟国に転換するのをおそれているためだと説明されることが多い。しかし、マケドニアはワルシャワ条約機構の加盟国だったこともなければ、ロシアの国益を決定的に左右するような国でもない。

横暴さは許容できないレベルに達した

一方のギリシャは1952年からNATOに加盟しているが、ロシアのプーチン大統領とは良好な関係を築いてきた。ロシアは今年3月に英国で起きた元スパイ暗殺未遂事件で神経剤を使用したと断定された。これを受けてEUはロシアを非難する声明を出したが、その文言をトーンダウンさせる役割を担ったのがギリシャだった。

それなのにロシアは、仲間のギリシャの国益を傲慢にも踏みにじった。プレスパ湖での合意はギリシャ政府にとってさして重要ではないと、なめてかかったのだろう。

今回の件で明確になったのは、敵国だけでなく、身内であってもロシア政府の横暴は許容できないレベルに達したということだ。ロシア政府は諸外国で裏工作を活発化させてきている。NATO加盟国の領土にまで上がり込んできて、元スパイの暗殺を試みるような国がロシアなのだ。そのロシアは今、ギリシャとマケドニアに干渉し、両国が苦労して勝ち取った合意をぶち壊そうとしている。

このようなロシアの暴挙を前に、ギリシャとマケドニアの指導者はひるむことなく誠実に立ち向かった。問題は、他国の政治家に彼らと同じくらいの根性があるかどうかだ。

クリストファー・ヒル 米デンバー大学コーベル国際大学院長

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Christopher R. Hill

米国の元東アジア担当国務次官補。近著に『Outpost』。

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