わずか10cmの車間に収める「NY」の路駐事情 丸山ゴンザレスがマンハッタンに見たカオス
LAどころか日本から来た俺には、これだけでも十分にすごかったのだが、予想の斜め上をいったのは出庫の際だった。
エンジンをかけて、ギアをRへ入れたKさんが、そのままアクセルを踏み込んだ。
「ゴツ」っという独特の衝撃が車内に響く。さらに「ゴツ」っと衝撃が響いた。今度はフロントだ。
「いいんですか?」
「何が?」
「思いっきり当ててますよね」
「だって、当てないと出られないじゃん」
「そうですけど……」
所変われば作法も変わる
「何を言っているの?」と言わんばかりのKさん。さすがにアメリカ育ち、動じるところはないようだ。これがニューヨークの作法なのかと思って納得するしかない。
「こうやって少しぐらい当てても、ニューヨークに住んでる人なら別になんとも思わないよ。それにどうしても嫌ならエプロンつければいいんだし」
「エプロンって?」
「フロントバンパーとか、リアにゴムっぽいカバーをつけるんだ。そうすれば傷がつかない」
「Kさんはつけないの?」
「あんなの、いろいろダサいじゃん」
かっこよさにこだわっているというよりも、面倒だからっていう感じがした。
この街で車を持つということは、小さな事故が前提になるのだろう。理屈ではわかるが、歌舞伎町でベンツにでもぶつけたら命ないんじゃないかと思うぐらいに交通事故に対してビビっている日本人なので、やはりこの街では運転できないなと思った。
ちなみに、歌舞伎町でヤクザのベンツに実際にぶつけた知人の話によれば、命ではなく、純粋に金のやり取りになるそうだ。
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