給料に満足していない人が見落とす根本論点 成果主義と働き方改革の本質は抑制にある

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企業活動では、今すぐ儲けにつながらない、種まき的なチャレンジを必要とされる局面が多々訪れます。中には、数年かけて投資を回収する事業もあります。

そのときに挑戦した人材を評価する制度があってこそ、人が育つのです。数字的な成果、特に業績と連動した成果だけに特化することは、人を育てず、長期的な事業の芽も摘んでしまいます。

それでも、その後、成果主義を取り入れる企業は増えていきました。それは、なぜか? 成果のみで管理する人事評価制度が、当時の企業にとって、給与をダウンする方向でコントロールするのに、有効に機能したからです。

バブル崩壊後、右肩上がりの成長を持続できなくなった企業にとって、会社の業績が上がらなければ、個人の評価も上がらないという成果型の目標管理制度は、賃金を上げないために都合がよかった。つまり、コストをできるだけ抑制したい企業側の理屈で採用された人事評価制度といえます。

一方で、能力やスキルは、いったん身につけてしまえば基本的には失われません。以前の職能資格制度では、賃金を下げる理由を見つけるのが難しかったのです。

これが今、成果主義という言葉にネガティブな印象が付きまとう一因だと私は考えています。「マイナスイメージ」は人事評価制度が、「給与を下げるための物差し機能」だったからなのです。

一方、拙著『給与2.0』でも解説しているように、社員と会社が対等な立場で、給与について交渉し、その額を決めている会社もあります。大きな方向転換に迫られる時代がやってきたと、私は考えています。

働き方改革は残業代のカットにしかならない

現在、政府が主導し進めている働き方改革。現場では、働き方改革イコール労働(残業)時間の短縮ととらえられています。

しかし、本当にそうなっているでしょうか。社員たちは労働時間が細かく管理され、残業を許されない風潮が強まっています。それに伴い、会社に残れず持ち帰りの仕事が増えたとの声も聞こえてくるのです。

さらに、労働時間の短縮は、現状では事実上「残業代」のカットを意味しています。働き方改革のせいで、自分の手取りが減ると戦々恐々としているビジネスパーソンも多いことでしょう。

『給与2.0』(アスコム)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかも、実際には仕事の総量が減るわけではなく、残業代の出ない持ち帰り仕事をせざるをえないのが現実です。

また、若手が早く帰らなくてはいけない分、中間管理職の残業が増える傾向も見えてきました。つまり、管理職側からも、残業代を期待できない若手側からも、不満が挙がっているケースが少なくないのです。

長時間労働の是正は、残業代の削減、すなわち実質的な給与カットにつながっています。

こうした時代環境の中で、ビジネスパーソン一人ひとりが、給与の本質について考える必要性が高まっています。「いち社員の自分には、給与体系は変えられず、そのまま受け入れるしかない」と前時代の仕組みをそのまま受け入れるのか、それとも今こそ会社に寄りかかった自分の働き方を見直し、給与を上げる契機とするのか。大きな分かれ道を迎えているといえます。

高橋 恭介 あしたのチーム代表取締役

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たかはし きょうすけ / Kyosuke Takahashi

1974年、千葉県松戸市生まれ。東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社に入社。2002年、プリモ・ジャパン入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍。同社での経験を生かし、2008年、リーマンショックの直後に株式会社あしたのチームを設立、代表取締役に就任する。1200社を超える中小・ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供するとともに、給与コンサルタントとして給与アップのための制度設計を支援。2018年2月には、人事評価制度の啓蒙と浸透を目的に「一般社団法人 人事評価推進協議会」を設立。代表理事就任。『人が辞めない会社がやっている「すごい」人事評価』『マンガでわかる ウチの会社っていい会社? ダメな会社?』(ともにアスコム)など著書多数。

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