前述したようにティックトックにはダンスの投稿が多いのですが、本格的なダンスを踊れる人はもちろん少なく、ほとんどは身振り手振りで簡単に踊っています。「#だれでもダンス」は片腕を体の前で横にし、もう一方の手で前に出している腕の上下に拳を突き出す振り付けから始まります。少し試すだけですぐ覚えられる振り付けで、しかも時間も短いため、すぐ真似ができます。最近人気の曲のひとつに、倖田來未がカバーした1980年代のヒット曲「め組のひと」があるのですが、これも目の横でVサインをするポーズが真似しやすいからでしょう。また、「#全力○○」というシリーズも人気で、「全力笑顔」「全力変顔」といった曲の歌詞に合わせて顔を作ります。
ティックトックを見ると、人物の動きに少し違和感を感じるかと思います。これはスローモーションで撮影し、再生時には通常の速さにすることで早送りのような効果を狙っているのです。また、楽曲も早送りでキーが高くなっているものが人気です。早送りの動画は数年前から人気が高く、かつては動画加工アプリ「VivaVideo」で加工してMixChannelへ投稿されていましたが、ティックトックでは非常に簡単に早送り動画が作れるようにアプリが設計されています。指定した箇所で画面を揺らしたり、ノイズを入れたりといった特殊効果も長押しするだけで加えられます。
投稿せずに「見る専」でいる理由
かわいい女子がキメ顔を繰り返すティックトックの動画は、「ウザい」と評判にもなりました。投稿者は実際にかわいい人が多いため、それほどでもない人やダンスがうまくない人が反対に目立ってしまうのかもしれません。
ある女子中学生は、「同級生が投稿している動画を偶然見ちゃったんだけど、こっちがマジ恥ずかしいって感じで。自分がかわいいと思ってるんだーって裏のLINEグループでスクショが回った」と話していました。友人と楽しく踊っている動画ならいざ知らず、キメ顔を繰り返す動画にしてしまうと周囲の女子から反感を買うのでしょう。
とはいえ、ティックトックで動画を撮影するのは楽しいため、恥ずかしいと感じている人は動画をシェアせず、スマホに保存したり、友人だけでシェアしたりしています。また、自撮りではなく、イラストを何枚か組み合わせてはやりの動きを真似する動画や、犬やネコ、おもしろ動画の投稿も増えています。
フリックで次々と動画が見られるティックトックはある種の中毒性があり、はまっている人は何時間でも見ています。しかし、ユーザーがティックトックに2時間以上滞在するとアラートが出るデジタルウェルビーイング機能も実装されました。デジタルウェルビーイングとは、Googleが2018年5月に「Google I/O」で唱えた、スマホの使いすぎを解消しようという取り組みです。スマホを使っていると、子どもも大人もつい時を忘れてしまうものですが、ティックトックはスマホの使いすぎに保護者が頭を悩ませることがないサービスになるのかもしれません。
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