アメリカで「電動スケーター」大ブームの理由 ベンチャー投資が過熱、「ユニコーン」も誕生

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一方、許可をめぐっては、問題も起きている。スピンのほか、ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズとリフトで幹部を務めた経験のあるトラビス・バンダーサンデン氏が率いる最大手バード、今年7月にウーバーとの提携を発表したライム・バイクは、サンフランシスコの市当局から運営の中止を命じられた。歩道での走行や乗り捨てに地域住民の苦情が相次いだためだ。

スピンが展開する電動スケーター(写真:Spin)

現在、各社とも営業許可を申請中で、スピンの広報担当者とスキップのダストアCEOによると、現在もサンフランシスコ市都市交通局の認可を待っているという。市当局が5月23日に発表した規制案では、まず、半年間で1250台が許可され、軌道に乗れば、その後の半年間で2500台に増える可能性がある。

最大手バードは史上最速で「ユニコーン」に

投資熱も高まるばかりだ。米メディアによれば、バードとライムの企業評価額はそれぞれ20億ドル、10億ドルを超え、いわゆる「ユニコーン」企業の仲間入りを果たした。特に昨秋創業のバードは、ユニコーンへの到達で史上最短となった。同社は7月、昨秋の営業開始以来、のべ100万回以上利用されたと発表している。ライムは、提携したウーバーのほか、グーグル親会社のアルファベットが持つベンチャーキャピタルからも出資を受けた。

電動スケーターシェア最大手のバードは、創業から1年足らずで「ユニコーン企業」の仲間入りを果たした(画像:Bird、ウェブサイトをキャプチャ)

前出のスキップは今年、創業初期段階の資金調達として600万ドル(約7億円)を集めた。同社への投資を主導したAキャピタル創業者のロニー・コンウェー氏いわく、電動スケーターシェアは人口密集地域での“ラスト1マイル交通”の需要に応え、スタートアップの成功に不可欠な「最適なサービスを最適な市場に提供する」という条件を満たしている。スタートアップの成功の指標となる、「プロダクト・マーケット・フィット(PMF)」のことだ。

「何千とある消費者向けビジネスのうち、PMFがあるものはごくまれだ」(コンウェー氏)。これに加えて、ラスト1マイル交通に懸けるダストアCEOの熱意にも後押しされ、スキップへの投資は「no-brainer opportunity(頭を使って考える必要すらないほど明白なチャンス)だった」とコンウェー氏は言う。

スキップは市当局の規制案づくりにも積極的に協力し、許可を得た自治体のみで営業を始める。自転車専用道路の整備や雇用創出、電動スケーターへの理解を深めるための啓蒙活動にも熱心で、地元のNPOとも協業する。目標は、「車ではなく、現在そして未来の都市に最適な乗り物を普及させること」(ダストアCEO)だ。

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