ポケモン最新作、「スイッチ版」開発の舞台裏 「ポケモンGO」の大ヒットを生かせるか

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1人で画面を見る携帯機と異なるのは、家族や友人もプレイ画面を一緒に見るようになること。そこで今作ではプレイヤー本人以外も楽しめるように、シリーズ初となる2人プレイ機能を導入。映像や音楽も家族全員が安心して楽しめることを意識して作り込んだという。

ポケモンの捕獲方法は、ポケモンGOと同様のものを採用した(左)。モンスターボール型の専用コントローラー「モンスターボール Plus」も同時発売。ストラップを腕につけた状態で投げる動作をすると、レッツゴーのゲーム内でポケモンを捕獲できる(左写真:©2018 Pokémon. ©1995-2018 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.、右写真撮影:梅谷秀司)

また、スイッチのもう1つの特徴である取り外し式コントローラ「ジョイコン」も有効活用している。テレビでプレイする際に目当てのポケモンにボールを投げるには、ジョイコンを振ることになっている。実際に自分がボールを投げるのと同じ感覚を味わえるようにした。「投げた際の心地良さにとにかくこだわった。誰がどんな投げ方をしても気持ちよくボールを投げられるようにするために、数百人に数千回という単位で試してもらうなど、試行錯誤を繰り返した」(曽羽氏)。

来年の“完全新作”にうまくつなげられるか

こうして生まれたのが今回のレッツゴーだ。曽羽氏は「目指したのは“みんなのポケットモンスター”だ。新規の方だけでなく、既存のファンにも楽しめる作品になっている。スイッチ販売の牽引役といわれるくらい売っていきたい」と意気込む。

ニンテンドースイッチとスマホ向けのゲーム『ポケモンクエスト』が5月以降配信が始まり、今秋、ピカチュウ版を基にした『レッツゴー』が発売。来年にはポケモン社としての完全新作が控えている。写真は5月末の発表会に登壇したポケモン社の石原恒和社長(撮影:梅谷秀司)

ポケモンGOとスイッチの大ヒットという、強力な追い風を受けるポケモン社。今回はあくまで20年前のピカチュウ版を基に開発されたタイトルだが、来年にはスイッチにおける“完全新作”の発売も控えている。レッツゴーでポケモンGOのユーザーを取り込みつつ、スイッチ本体の普及を加速させ、来年の新作へとつなげることができれば理想的な展開といえる。

ただ、良くも悪くもふたを開けるまでわからないのがゲーム業界。既存タイトルとも、ポケモンGOとも異なる本作がどの程度受け入れられるか。結果は11月の発売後に判明する。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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