フランス人がバカンスと旅行は別と考える訳

バカンスではあえて不便な生活をする傾向も

彼女の場合、同じ休暇の過ごし方でも「バカンスに出かける」となれば、海辺や田舎に滞在し、ゆっくり休養する。「旅行に出かける」となれば、頻繁に移動してあちらこちら見て回るというのだ。

「1週間の予定で、フランスから日本を訪ねるならば、私も目いっぱい予定を詰め込むでしょうね」と彼女は話す。

長い休暇がとりにくい日本では、休み中にどこかへ行っても慌ただしい旅になってしまいがちだ。一方、フランスの法定有給休暇は年間5週間。のんびりするバカンスと見聞を広める旅行と、両方を楽しむのに十分な期間がある。

フランス滞在中に日本人の知り合いから、「バカンスはどちらへ行かれるの?」と尋ねられて、「コルシカ島へ2泊3日で行きます」などと答えていたが、お互いに「バカンス」という言葉の使い方を間違えていたことになる。こんな短期間の滞在は、旅行と言うべきだったのだ。

実は、フランス人には「2泊3日でコルシカ島へ行った」というと、けげんな顔をされた。ナポレオンの生まれ故郷でもあるコルシカ島は、自然が豊かでフランス人に人気のバカンス先。フランス人にしてみれば、1週間くらいは滞在して楽しむのが普通なのに、そんなに短い間しか滞在しないのは、もったいないということらしい。

バカンスで大切なのは家族と過ごす時間

フランス人がバカンスに出かけるときは、あえて不便な暮らしをするという傾向もあるようだ。

あるフランス人女性は幼いとき、毎年夏に家族でフランス中部の洞窟を利用した宿に泊まった。電気が通っていないので、父親が薪を燃やして料理を作ってくれた。夕食はろうそくに火をともして家族一緒にとる。学校や仕事のある普段は、家族で一緒にいる時間は限られていたが、バカンス中は、家族で長い時間を一緒に過ごせた。それが、今では良い思い出になっているという。

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